現在公開中の主演映画『東京リベンジャーズ』が大ヒット。ドラマ「ナイト・ドクター」では田中圭の後輩の医師役を演じ、俳優としてもその存在感を発揮している北村匠海。そんな北村の主演作であり、DJを目指す渋谷の老舗とんかつ店の3代目を演じた音楽青春映画が「とんかつDJアゲ太郎」だ。
本作は、少年ジャンプ+に連載された漫画を二宮健監督が実写化。厳しい父親(ブラザー・トム)が営むとんかつ店"しぶかつ"で修行中のダメ長男・揚太郎(通称・アゲ太郎)を北村が演じている。ある夜、アゲ太郎が配達に行った先は近所なのに1度も足を踏み入れたことがないクラブ。若い男女が夜な夜な集まる空間の中、明らかに場違いのアゲ太郎が目にした光景とは。DJや愉快な後継ぎ仲間たちも登場し、"青春あるある"の笑えるエピソードが盛りだくさんの映画で北村が見せた熱くてコミカルな演技を振り返ってみると?
■クラブで脳天直撃のショックを受ける北村の表情に注目
「俺、店が継ぎたいとかじゃなく、やりたいことないからやってるだけなの」と言っているアゲ太郎は、父親に頼まれて"ロースかつ弁当"を渋谷のクラブに届けに行くことになる。注文したのはベテランDJのオイリー。しぶかつの安定の味を絶賛するオイリーに「イベントを見ていってもいい」と言われたアゲ太郎は、冴えない中年男だったオイリーがステージでターンテーブルを操り、フロアを踊らせる光景を見て、その場から動けなくなるほどの衝撃を受ける。
強い光に打たれたかのように口を半開きにして「カッケー」とつぶやく北村の表情と佇まいが最高だ。単細胞のアゲ太郎は速攻でオイリーに弟子入りさせてほしいと頼むものの、「DJなんて人に教わるもんじゃないよ」と断られるのだった。
■とんかつもフロアもアゲてやる!と奮闘
夢なし、気力なしだったアゲ太郎はそこから人が変わったようにアクティブアゲ太郎に変身する。一目惚れした女の子・苑子を喜ばせるため、そして憧れのDJになるために近所の幼なじみで3代目同士の友人たちを巻き込み、"とんかつDJ"としてYouTuberデビューを果たす。弟子入りを拒否したオイリーもわけあって、アゲ太郎にアドバイスをすることに。
やがてアゲ太郎はDJとフロアが生み出す熱狂と、父がジューシーなとんかつを揚げる音やパフォーマンス、お客さんが美味しそうに食べる様に共通項を見出していく。キャベツを刻むリズムやぬか漬けにもグルーヴを感じて、3代目としても成長していくアゲ太郎。
北村の見どころは念願の初ステージで気合いの入った視線で生き生きとお皿を回すシーンや、若き天才として熱い視線を集めているDJ屋敷とのサプライズなセッションシーンだ。一直線な性格のアゲ太郎とIT社長の顔も持つ寡黙でクールな屋敷との良きライバル関係、そんな新世代の2人を温かい目で見守るオイリーなど、キラキラしている北村を中心に個性的なキャラクターたちに癒され、爆笑させられる。
映画の主題歌はブルーノ・マーズ。初ステージで最初にかけるナンバーがザ・ナックの「マイ・シャローナ」だったり、ケミカル・ブラザーズやマルーン5の楽曲が使われていたりと、音楽好きのテンションもアゲてくれる映画だ。
文=山本弘子
放送情報
とんかつDJアゲ太郎
放送日時:2021年9月11日(土)20:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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