市原隼人がコミカルに振り切った演技で新境地を開いたドラマ「おいしい給食」

物語は古き良き昭和の公立中学校が舞台。そこで給食を異常に愛する教師と生徒がバトルを繰り広げるドラマが「おいしい給食」だ。同作は映画化を経て、地上波ではドラマ版シーズン2が放送中。さらに、映画版第2弾の制作も決定している。そんな人気シリーズに成長したのは、教師役を演じた主演の市原隼人の熱演に負うところが大きい。

市原隼人は20年前、岩井俊二監督の映画『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)でデビュー。その後、ドラマ「ROOKIES」(2008年TBS系)や「おんな城主 直虎」(2017年NHK総合)などで独特の存在感を発揮してきた。いつも画面に映る"本気度"が高く、男らしい風貌だからか硬派で無口、強い信念を持つ男の役が多い。

「おいしい給食」に出演する市原隼人
「おいしい給食」に出演する市原隼人

(c)2019「おいしい給食」製作委員会

そんな彼が「おいしい給食」で演じる甘利田幸男も一見クールな男だ。学校ではニコリともしないし、生徒に対しても厳格。生徒がふざけていたり何かリクエストしてきたりすると「学校は勉強するところだ」と一喝する。生徒からすれば容易には話しかけられないような"圧"のある先生だろう。

しかし、そんな甘利田は実は誰よりも給食を楽しみにしており、朝礼や授業中も隙さえあれば真剣極まりない顔で給食のメニューのことばかり考えている。そして、お待ちかねの給食タイムになると超ごきげんモードになり、食べる前に全校生徒が歌うことになっている「常節(とこぶし)中学校校歌」をぶんぶんと腕を振り回しながら歌うという普段との激しいギャップが笑える。

(c)2019「おいしい給食」製作委員会

市原の豪快かつリズミカルな食べっぷりも良い。ドラマ版開始時に行ったインタビューでは「どうすれば他の人がしない食べ方ができるか、これまでになかった姿を見せられるか。そう考えながら撮影に臨んでいましたね」と語ってくれた(月刊クラビズム2019年11月20日発行号)。

さらに、甘利田の受け持ちクラスの生徒・神野ゴウ(佐藤大志)との対決で、市原の演技はヒートアップ。ゴウは甘利田に負けず劣らずの給食好きで、揚げパンに温めたチーズを絡めるなど、さまざまな工夫を凝らしては甘利田よりおいしく給食をいただいてしまう。甘利田はいつも完敗し「そんなバカな?」「うまそうじゃないか!」と心の声で言いながら激しく動揺する。その瞬間、机に乗り出しアクロバティックに足を上げて海老反り姿勢を取るなど、体を張った心情表現がまた笑える。

市原がこれまで演じてきた中で最もコミカルに振った役柄なのではないか。「笑わせようとは意識していなくて、むしろ甘利田にとっては生徒に負けたという悲劇であるわけです。ただ、カットの声が掛かった瞬間、笑ってしまったことはしょっちゅうありました。『俺は何をやっているんだ』って(笑)」とも語っていた(同上)。あくまで真剣に熱量を込めているからこそ、おかしみが生まれるのだ。

"給食で勝負"という学園ドラマとしてはやや無理のある設定を、しっかりした昭和59年頃の時代考証や美しい映像でカバーする脚本・演出も上手い。この機会にぜひシーズン1からフォローしてみよう。

文=小田慶子

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放送情報

おいしい給食
放送日時:2021年10月31日(日)15:30~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

市原隼人の放送情報はスカパー!公式サイトへ

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