10月より放送を開始した「最愛」(TBS系)。「アンナチュラル」「MIU404」のプロデューサー・新井順子と演出・塚原あゆ子が再びタッグを組み、完全オリジナル脚本で挑む濃密なサスペンスラブストーリーが異彩を放っている。同作を放送するのは数々の名作ドラマを送り出してきたTBS金曜ドラマ枠だが、ラブストーリーはその支柱の一つ。ちょうど1年前、10月期の同枠で話題を集めたのが、原作・柴門ふみ×脚本・大石静のドラマ「恋する母たち」だった。
■名作多数!TBS金曜ドラマ枠で昨年話題を呼んだ「恋する母たち」
原作は、「東京ラブストーリー」「あすなろ白書」など数々の大ヒットドラマの原作者として、熱狂的な支持者も多い"恋愛漫画のカリスマ"柴門ふみの同名漫画。"母親たちの赤裸々な恋愛事情"を真正面から描き、2017年の連載開始当初から高い反響を呼び起こした作品だ。
一方、その漫画を見事に具現化した脚本家が、"恋愛ドラマの名手"大石静。恋愛から遠ざかっていた女性の恋と性欲を描いた衝撃作「セカンドバージン」や、若年性アルツハイマー症候群という難しいテーマを扱った感動作「大恋愛~僕を忘れる君と」など、社会問題も内包した大人の恋愛模様を描出。幅広い世代のドラマファンの心を掴んできた、言わずと知れたヒットメーカーだ。
そんな2人がタッグを組んだ「恋する母たち」は、3人の"美しい母"の物語。パートで働くシングルマザー・石渡杏(木村佳乃)、バリバリのキャリアウーマン・林優子(吉田羊)、キラキラのセレブ妻・蒲原まり(仲里依紗)の心を、個性のまったく異なる3人の男性が揺さぶっていく。
■小泉孝太郎、阿部サダヲ、磯村勇斗...3人の母を魅了する相手役が絶妙!
同作が話題を呼んだ理由の一つが、母たちの恋のお相手となる絶妙なキャスティングだ。
小泉孝太郎演じる斉木巧は、パートナーに不倫された者同士である杏に、特別な思いを抱く。出会った当初は真面目なサラリーマンだった斉木は、再会した時には週刊誌記者に。ちょっぴりやさぐれて男臭さも加わった斉木を小泉が大人の魅力たっぷりに演じ、クリーンなパブリックイメージを打ち破った。
阿部サダヲ演じる人気落語家・今昔亭丸太郎は、愛嬌たっぷりのキャラクター。いつも飄々としながらも真っすぐな愛情をまりに注ぐ一方で、夫の不倫に悩む彼女に的確なアドバイスを送り、"人生の先輩"として頼りになる一面も覗かせる。"バツ3"設定ながらその包容力で女性ファンのハートをつかみ、公式サイトでは毎話"丸太郎の言葉"が連載されるほどの人気ぶりだった。
そして何と言っても注目は、優子の部下で有望な若手社員・赤坂剛。仕事面では頼りがいも見せつつ、優子と2人きりになると甘えたり、挑発したり。磯村勇斗がそんな色気むんむんの年下イケメンを体当たりで演じた。
「林さんの欠点は、結婚してるってことです」と優子の心をかき乱したかと思えば、自信たっぷりに壁ドンしてみせたり、裸になって「もう我慢できないです、俺...」と赤裸々に思いをぶつけてきたり...。2人のラブシーンはたびたび話題を呼び、「ホントに付き合ってほしい」の声が殺到。コロコロと表情を変える赤坂に、多くの女性視聴者が心奪われた。
■不倫でも純愛!?リアリティ溢れる"大人の恋愛ドラマ"が共感を呼ぶ
男たちに出会うまでの3人のヒロインは(かなり美人ではあるものの)ごく普通の"良き母"であり、既婚者。つまり、この作品は中毒性の高い"不倫ドラマ"という側面を持つ。
だがその一方で、彼女たちの恋心は純真で、生々しいのに共感できる。恋していても母や妻、社会人としての日常は決して崩すことはない――そんな大人の恋愛ならではの厳しい現実もきっちり描き、ただ甘くてドロドロするだけの性愛ドラマとは一線を画している。そうしたリアリティこそ、視聴者の熱い支持を集めた理由だろう。
大人が夢中になれる恋愛ドラマが生まれにくい昨今、恋愛作品のカリスマたちが生み出した「恋する母たち」は、大人による大人のための恋愛ドラマ。日に日に寒さが増し人肌恋しくなるこの時期、改めて"大人の恋愛"にどっぷりと浸り、身を焦がしてみてはいかがだろか。
文=酒寄美智子
放送情報
恋する母たち
放送日時:2021年11月13日(土)11:00~
※全話一挙放送
チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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