ジュリーこと沢田研二がユニークな考古学者役!塚本晋也監督とタッグを組んだホラー映画

今年でソロデビュー50周年を迎えた沢田研二。ジュリーの愛称で熱狂的な支持を集めた彼は、昭和を代表するスーパースターとして数々のヒット曲を送り出してきたが、俳優としても類まれなる存在感を発揮。山田洋次、深作欣二、長谷川和彦、鈴木清順、藤田敏八、森田芳光など、数多くの名監督たちと数々の名作、話題作を生み出してきた。そんなジュリーが、世界中に熱狂的なファンを持つ鬼才・塚本晋也監督とタッグを組んだ特撮エンタテインメント・アドベンチャーホラーが映画『ヒルコ/妖怪ハンター』である。1991年に初公開された同作のレストア&リマスター版が、12月に衛星劇場で放送される。

『ヒルコ/妖怪ハンター』は、世界中を熱狂の渦に巻き込んだサイバーパンク・ムービー『鉄男 TETSUO』(1989年)で世界から注目を集めた塚本監督にとって初のメジャー作品。塚本監督が「どうしてもお願いしたかった」というジュリーを主演に、「大好きな諸星大二郎の漫画」を実写化することになった。

『ヒルコ/妖怪ハンター』に出演した沢田研二、工藤正貴
『ヒルコ/妖怪ハンター』に出演した沢田研二、工藤正貴

(C)2009 KEIKO KUSAKABE・MAKOTOYA CO.,LTD/SHINYA TSUKAMOTO・KAIJYU THEATER ALL RIGHTS RESERVED.  (C)2009 DAIJIRO MOROHOSHI/SHUEISHA

ジュリーが演じるのは、失踪した義兄を捜すために、田舎の古ぼけた中学校を訪れた異端の考古学者・稗田礼二郎。そこで彼は奇怪な事件に巻き込まれ、やがて古墳からよみがえった"ヒルコ"と呼ばれる謎の妖怪と対決することになる、という物語だ。

だが台本を読んだジュリーは「最初、台本を読んだ時は鳥肌が立ってね。これほど不気味な話だったら断ろう」と思っていたという。そして実際に断るつもりで塚本監督に会いに行ったというが、絵コンテや衣装プランなどを用意して、映画について熱心に説明する塚本監督の姿に心動かされ、「この人なら丁寧に撮ってくれるんじゃないか」と感じ、本作のオファーを受けることにしたという。

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原作者の諸星大二郎が、映画化に際して出したリクエストは「ストーリーや主人公のキャラクターは変わってもいいから面白い映画にしてほしい」ということだった。原作における稗田は、黒ずくめでクールなキャラクターとなっているが、ジュリーが演じた稗田は、ドジでとぼけた味わいのあるユニークなキャラクター。そして映画には、塚本監督が少年時代に大好きだったという、NHK「少年ドラマシリーズ」へのオマージュもちりばめられた。

そんな本作を諸星は「原作通りより、こういう風に作ってくれて面白かった」と言い、この映画を気に入っていたという。実際、この映画の後に発表された短編コミック「蟻地獄」では、「稗田先生って沢田研二にちょっと似てない?」という学生のセリフが登場するなど、まさにジュリーの稗田が原作者公認のキャラクターとなったとも言える。

『鉄男 TETSUO』をほうふつとさせるような疾走感あふれる映像や、SFXを駆使した独創的なビジュアル、不気味な造形物などが織りなす恐怖描写など、塚本ワールド全開ともいうべき本作であるが、その一方で思春期の淡い恋心や、ひと夏の冒険といったジュブナイル的要素も色濃く描かれており、どこか胸が締め付けられるような、ノスタルジックな感覚が味わい深い。

文=壬生智裕

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放送情報

ヒルコ/妖怪ハンター レストア&リマスター版
放送日時:2021年12月7日(火)19:00~ほか
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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