近頃、勢いのある俳優の1人が、赤楚衛二だ。この秋フジテレビ系ドラマ「SUPER RICH」で江口のりこの相手役を演じて注目されたが、1クール前には、中島健人と小芝風花が主演した「彼女はキレイだった」でも重要な役どころを演じ、主演の2人に負けない強烈な存在感を放っていた。
赤楚は出身地の愛知県でタレント活動を行っており、2013年にはサマンサタバサのメンズモデルオーディションでグランプリを受賞。その後、現在の所属事務所に入って俳優としての活動を本格的に開始した。
そんな赤楚の原点とも言える作品が、2017年から放送された「仮面ライダービルド」だった。同作の前に「仮面ライダーアマゾンズ」で長瀬裕樹役として出演を果たしており、仮面ライダー作品としては2作目だったのだが、同作において赤楚は、主人公である仮面ライダービルドの相棒役にあたる、仮面ライダークローズ役を演じた。
犬飼貴丈演じる桐生戦兎(ビルド)が、驚異的な頭脳と身体能力を持つ天才物理学者だったのに対し、赤楚演じる万丈龍我(クローズ)は、勘の鋭さと根性だけは誰にも負けない元格闘家。八百長試合で格闘界から永久追放され、その後殺人事件の容疑者として逮捕されるが、刑務所から脱獄。ビルドによって追手から逃れることに成功し、戦兎と運命を共にする。という物語だ。
龍我は直情型で粗暴な性格。当初は戦兎たちに心を開かず、自分の冤罪を晴らすことにとらわれて、人助けを優先する戦兎に対して苛立ちを隠せず、時に危険な行動に及ぶ場面もあったが、次第に精神的な成長を見せて、絶望しかけた戦兎を発奮させて立ち直らせるなど、戦兎の心の支えとなっていく。演じる側としては、起伏があり難しい役どころではあったはずだ。それでも。歴代の仮面ライダー俳優の多くがそうであったように、劇中の人物と呼応するかのように、俳優・赤楚衛二も演じるうちに完全に役を自分のものにしていったという印象だ。
赤楚の演技の特徴は、心象描写がとても丁寧できめ細かい芝居ができる点だろう。特にセリフのない場面でも、その表情だけで複雑な心理をさりげなく視聴者に伝えて見せる。それもわざとらしさがなく、常に自然なのだ。演技に力みがないから嫌みもまったくない。たとえ脇役であっても視聴者は彼に強く惹きつけられてしまうことになる。
2018年5月にはグランドプリンスホテル新高輪で「仮面ライダービルド スペシャルイベント」が開催された。同イベントは、完全オリジナルストーリーを、照明や音響、特殊効果などショーならではの演出とアクションによるスペシャルショーにしたもの。さらに「仮面ライダービルド」キャストが集合するトークショーの二部構成。この日しか見られない貴重なイベントで、ファンには好評だった。同イベントの模様は東映チャンネルで放送される。
最近のドラマで赤楚の魅力を知ったという人も、仮面ライダー俳優時代の彼を見て、改めてその魅力を探ってみてはいかがだろう。
文=渡辺敏樹(エディターズ・キャンプ)
放送情報
仮面ライダービルド スペシャルイベント
放送日時:2022年1月9日(日)10:00~
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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