高良健吾が主演を務めた「多十郎殉愛記」。菅原文太の「木枯し紋次郎」や「まむしの兄弟」シリーズ、「新・極道の妻たち」など数々のヒット作を手掛けてきた日本映画界のレジェンド・中島貞夫が20年ぶりに長編劇のメガホンを取ったという意味でも話題を呼んだのは記憶に新しいところ。この本格的なちゃんばら映画でヒロインを務めたのが多部未華子だ。30分にもわたる大立ち回りのシーンがクライマックスとなっているが、高良演じる多十郎と多部演じるおとよとのラブストーリーは"殉愛記"というタイトル通り、物語の重要なファクターとなっている。多部が扮した"おとよ"という女性とは?
■多部未華子の着物姿や京言葉がかわいいと話題に
舞台は幕末の京都。多部未華子の役は小料理屋を切り盛りしている女将・おとよ。おとよは、長州を脱藩し、同じ長屋に住んでいる剣の達人・多十郎(高良)に秘かに想いを寄せ、部屋の掃除をしたり、何かと世話を焼いている。鈍感な多十郎は、おとよの恋心に気づかず、帰りを夜明けまで待っている彼女に邪険な態度を取ったりもするが、健気なおとよは多十郎を支え続ける。現代に置き換えたら、不器用なダメ男を放っておけないタイプ。誰かを一途に愛し続けることはある意味、強さの証だが、そんな芯の強い女性像を多部未華子が好演している。生きる気力を失っている多十郎にカツを入れるため、刀を取り上げて「死んだらええやん」と首に突きつけるシーンなど、時折、キリッとした表情を見せるのもいい。映画のために町娘の所作や立ち居振る舞い、言葉遣いなどを勉強したという多部。可憐な着物姿と柔らかい京言葉がかわいいと称賛の声が相次いだ。
■時代劇には珍しいキスシーンも
1度は剣を捨てた多十郎が京都見廻組に目を付けられ、再び、追手と剣を交えての死闘を繰り広げることになった理由は、いつしか大事な存在になったおとよと腹違いの弟・数馬(木村了)を守るためだった。高良が入念な稽古を重ねて挑んだ大掛かりな殺陣のシーンは最大の見どころだが、時代劇には珍しいキスシーンがあるのも、本作の胸キュンポイント。台本にはなかったシーンが中島監督のアイディアによってサプライズ的に盛り込まれたとのことだが、映画『フィッシュストーリー』に始まり、幾度も共演している高良と多部が時代劇という設定でどんなふうに愛を伝え合うかにも注目したい。
文=山本弘子
放送情報
多十郎殉愛記
放送日時:2022年2月14日(月)2:00~、2022年2月25日(金)23:00~
チャンネル:時代劇専門チャンネル
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