時代劇としては異例のヒットを記録し、続編も制作された『超高速!参勤交代』。日本アカデミー賞で最優秀脚本賞、優秀主演男優賞、優秀監督賞を受賞した映画の脚本は星野源主演のヒット作『引っ越し大名!』も手がけた土橋章宏。お金も力もない磐城国(現在の福島県いわき市)の弱小藩主なのに江戸幕府から5日以内で(通常は8日かかる)参勤交代するよう無茶ぶりされる主人公、内藤政醇を演じたのは佐々木蔵之介。私利私欲より民の幸せをいつも考えているお人好しの殿、内藤が道中で出会い、恋に落ちるヒロイン、お咲を深田恭子が演じている。
第2弾『超高速!参勤交代リターンズ』にも出演し、着物姿が艶やかで美しいと話題になった深田恭子がコミカルな時代ドラマで見せるギャップが魅力の役柄とは?
■ほのぼの藩主とキレッキレのお咲の運命の出会い
8代将軍、徳川吉宗の時代。参勤交代から故郷に帰ってきて、やっとのんびりできると思ったのも束の間、内藤率いる湯長谷藩は悪事を企む幕府の老中、松平信悦(陣内孝則)のさしがねで再び、参勤交代を命じられる。お金もなければ時間もない中での無理難題に一行は前代未聞の作戦を立て、超高速かつ体力勝負のスパルタの旅へと出発する。
その道中で殿が立ち寄った宿場で、飯盛女として働いていたのがお咲だった。反抗的なため、木に縛られ「態度が悪くてね。山猫みたいなコです」と言われているお咲のことが気になった殿は自分の部屋に呼び、2人は運命の出会いを果たす。磐城から来たと言うと、とうてい移動できない距離に「バカも休み休み言いな」と返すお咲はやんちゃで気の強い性格。ハードな道中にくたびれかかっている内藤がまさか藩主だとは思わず"スケベ侍"呼ばわりするものの、そのおおらかさと優しさに自分を縄からほどくために呼びつけたと察することになる。白塗りに着崩した着物姿で悪態をつくお咲の幼さと色気が同居している雰囲気がなんとも言えず、深田恭子の魅力が引き出されている。
■お咲にとって殿様は魔法をかけた白馬の王子様?
どうにかして参勤交代を失敗に終わらせたい老中はあの手、この手を使って一行を邪魔しにかかる。お咲は刺客から殿をかくまったことがバレて旅籠を追われ、内藤の馬でさらわれるように江戸城へと共に向かうことに。別行動で険しすぎる道のりを行き、ボロボロになっていく知恵者の家老(西村雅彦)を始めとする藩士たちのエピソードが爆笑に次ぐ爆笑なのだが、素性を知らないまま内藤についていき、恋をしたことでどんどん表情が変わっていくお咲は深田恭子の強みであるかわいらしさとイコールだ。合流した一行が襲われる大立ち回りでは、怖がりながらも持ち前の負けん気で戦おうとする姿がキュート。エンディングで山猫と言われていたお咲が洗練され、美しい着物姿で登場する場面までヒロインにふさわしい華を感じさせる。
文=山本弘子
放送情報
超高速!参勤交代
放送日時:2022年3月8日(火) 18:40~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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