『ドライブ・マイ・カー』が話題の西島秀俊が演じた、遊園地で働く理想の上司

主演映画『ドライブ・マイ・カー』が第94回アカデミー賞で4部門にノミネートされ、世界的俳優として熱い視線を浴びている西島秀俊。そんな西島が遊園地で働き、"魔法使い"と呼ばれる従業員を演じたのが『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』だ。クールで少し影のある役が多いイメージの西島だが、本作では爽やかな笑顔全開。遊園地で一緒に働く仲間を家族のように思い、来園者を楽しませる気づかいと冴えた企画で"魔法"をかける愛されキャラが新鮮だ。チームを率いるリーダーとして、遊園地に起きるアクシデントを慌てず騒がず、ユーモアと経験値で乗り切る理想の上司役を演じた西島に焦点を当ててみると?

■やる気ゼロの新入社員・波平久瑠美(波瑠)の人生にも魔法をかける?

小塚慶彦(西島)は熊本の遊園地・グリーンランドで"魔法使い"と呼ばれるほどの天才社員で、彼が入社してから園の集客力は170%アップ。「どんな急用でも客の前で走らない」、「お客様の前では何があっても笑顔」などの5箇条を作り、園を盛り上げる企画を次々に成功させてきた人物だ。

『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』に出演する西島秀俊と波留
『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』に出演する西島秀俊と波瑠

(C)小森陽一/集英社(C)2018 映画「オズランド」製作委員会

そんな小塚の下で働くことになった久瑠美は東京出身。彼氏のトシくん(中村倫也)が働く一流企業の企画事業部に就職が決まり、ハッピーな春を満喫したのも束の間、熊本の遊園地に配属されたことでテンションはいっきにどん底に。小塚に屈託のない笑顔でゴミ袋を100枚渡され、園内のごみ拾いや山羊の世話を命じられ、彼女なりに企画を出すもののスルーされてしまう。「私、ごみ拾いするために大学出たわけじゃないですから!」と憤慨するが、そんな彼女のことを小塚は説教するわけでもなくニコニコと笑っている。その呑気さに呆れて投げやりになっていた久瑠美だったが、ある日、園内でお客様にアトラクションの場所を質問されて、答えられない自分に呆然とし、小塚がごみ拾いをさせた理由を知ることになる。

凹んで涙ぐむ久瑠美に小塚がさりげなく帽子をかぶせるシーンは「こんな上司がいたなら」と思わせる胸キュンポイント。西島のキラキラスマイルがたくさん見られるのもレアだが、「なんか、お前いいよ。予想外で」とか「バカ。ちげーよ」など、ざっくばらんな兄貴キャラの台詞も意外性があり、楽しみ倍増だ。

(C)小森陽一/集英社(C)2018 映画「オズランド」製作委員会

■みんなを笑顔にさせる小塚の器の大きさ

どんなアクシデントが起きても、「遊園地はみんなに魔法をかける場所だ」という信念から行動を起こしていく小塚。トランシーバーで迷子の連絡を受けた時にはあえてアナウンスをせず、スタッフに大量の風船を用意するように指示して子供たちを引き寄せ、見つける作戦を実行。園内のイベントに出演するアイドルたちの無茶ぶりにも粋なはからいで応えてしまう。

(C)小森陽一/集英社(C)2018 映画「オズランド」製作委員会

その優しさは家族のように思っているスタッフたちにも向けられていて、久瑠美の彼氏・トシくんが東京から事務所を訪ねてきた時も「(久瑠美に)優しくしてやってな。すげえ頑張ってんのよ」と声をかける。なぜ小塚が人を笑顔にさせる魔法使いになったのか、その背景や遊園地の裏側も描かれたヒューマニズムとファンタジー溢れる本作。仕事にやりがいを見出し、予想を超えて成長していく久瑠美に見せる西島の視線や表情にフォーカスしてみても、ドキドキする発見が散りばめられている。

文=山本弘子

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放送情報

オズランド 笑顔の魔法おしえます。
放送日時:2022年3月12日(土)22:00~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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