現役高校生だった2006年に、深夜ドラマ「チェケラッチョ!!in TOKYO」の主人公役で俳優デビューを果たした窪田正孝。2008年の「ケータイ捜査官7」では、飄々とした雰囲気ながら胸の奥に熱いものを秘めた男子高校生・ケイタを体当たりで演じたことをきっかけに、若手実力派俳優として大きな注目を集めた。
俳優としての圧倒的な才能のひとつでもある抜群のスタイルに加え、静かな佇まいながら、観る者の視線を釘付けにする独特の存在感は、いつしかドラマファンをはじめとする多くの視聴者が知るところとなり、連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」や大河ドラマ「平清盛」などにも、重要なキャラクターとして出演。着実にキャリアを重ねる中で、圧倒的な演技力と美しい筋肉、そして長い足を駆使した華麗なアクションといった、今の彼の持ち味でもある魅力を次々と披露。中でも、映画『東京喰種 トーキョーグール』シリーズの主人公・金木研役では、人気コミックの実写化には厳しい見解を示しがちな原作ファンをも納得させる熱演を披露。「実写化大成功」の評価を勝ち得たことは記憶に新しい。
そんな彼が2013~15年にかけて出演したのが、ドラマ「ST」シリーズだ。
2013年に「ST 警視庁科学特捜班」として2時間のスペシャルドラマとしてスタートを切った同作は、藤原竜也と岡田将生の出演で話題を呼んだ刑事ドラマ。藤原演じる引きこもりの法医学者・赤城をはじめとする人並み外れた能力を持つ5人の科学捜査官と、彼らに翻弄されるキャリアのエリート警部で構成されるScientific Taskforce・通称ST(警視庁科学特捜班)の活躍を描く本作。窪田は犬並みに鋭い嗅覚という才能を持ちながらも、極度の先端恐怖症によってトラブルを巻き起こす無口な武闘派・黒崎勇治を演じている。
普段は無表情で感情を面に出さない草木のような男ながら、上司でもある岡田演じるエリート警部・百合根が丹念に削った鉛筆の先に恐怖を覚え、嫌悪の感情をむき出しにしながら次々とへし折るといった常軌を逸した行動に出ることも。その延長で人の話す言葉にも棘があると感じてしまい、言葉をめったに話さなくなるだけでなく、仲間とのコミュニケーションも、分析官の先輩・山吹への耳打ちやメールアプリのみで行うという、かなりクセの強い人物だ。
そんな黒崎を窪田は、彼の持ち味でもある寡黙でシャイな雰囲気を存分に活かして好演。その上、アクションシーンも存分に用意されているなど、窪田正孝という俳優の魅力を余すところなく堪能できる役柄となっている。
スペシャルドラマの反響を得て、1年後に制作されたTVシリーズ「ST 赤と白の捜査ファイル」の第3話では、黒崎を大フィーチャー。オフの日にはボクシングジムに通っていて、そこで知り合った友人とは、言葉数は少ないものの会話が成り立っているなど、黒崎の新たな魅力も描き出している。また、スケールアップした劇場版でも華麗なアクションを披露。ST対赤城というスリリングな展開で大活躍。窪田の演技はもちろん、藤原と岡田が演じる赤城と百合根の軽妙な会話も痛快な刑事アクション・シリーズ。その魅力をぜひ再確認して欲しい。
文=中村実香
放送情報
ST~警視庁科学特捜班~
放送日時:2022年4月30日(土)10:00~
ST赤と白の捜査ファイル【一挙】
放送日時:2022年4月30日(土)12:05~
映画「ST赤と白の捜査ファイル」
放送日時:2022年4月30日(土)21:45~
チャンネル:ファミリー劇場
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