倉科カナが中学生役で制服姿・体操着を披露?秘密を抱えた女性の裏表の演じ分けもすごい!

2009年に放送されたNHK連続テレビ小説「ウェルかめ」のヒロインに選ばれて以降、数多くのドラマ、映画、舞台作品で活躍してきた倉科カナ。その後も、映画『3月のライオン』で見せた母性あふれる芝居や、映画『女たち』での、魂を震わせるような熱演など、確かな演技力をベースに、女優として着実にステップアップを果たしてきた。そんな彼女の柔らかな陽の芝居と、心の奥底に秘められた陰の芝居という両面で心を揺さぶられる作品が、「連続ドラマW 天使のナイフ」である。

「連続ドラマW 天使のナイフ」で主演を務めた小出恵介(と藤本泉)
「連続ドラマW 天使のナイフ」で主演を務めた小出恵介(と藤本泉)

(C)2015 WOWOW INC.

原作は第51回江戸川乱歩賞を満場一致で受賞した薬丸岳のベストセラー小説。「友罪」「Aではない君と」などで、「少年法」が直面する問題や、加害者と被害者それぞれの苦しみ、贖罪(しょくざい)への思いといったテーマを描いてきた作家・薬丸岳の原点となる重厚なドラマだ。演出は、「東京ラブストーリー」や「愛という名のもとに」などのヒットドラマをはじめ、加害者家族と被害者家族をテーマとした2011年の「それでも、生きてゆく」を担当した永山耕三が務める。

本作の主人公は、埼玉県で営業するカフェの店長・桧山(小出恵介)。物語は、彼の妻の命が、見ず知らずの13歳の少年たちによって無残にも奪われてしまうところから始まる。激しい怒りと悲しみにとらわれた桧山だったが、彼らは少年法に守られ、刑事責任能力を問われることはなかった。そればかりか、彼らの顔と名前、そして彼らが反省しているのかさえも、桧山が知ることはできなかった。

一方、少年法のために情報が制限されているマスコミは、連日のように被害者遺族である桧山のコメントを得ようと追い続けた。少年法の壁にぶつかり、怒りと悲しみに打ちひしがれていた桧山は、テレビカメラの前で思わず「国家が罰を与えないなら、自分が犯人を殺してやりたい」と悲痛な思いを吐露。しかし彼の思いとは裏腹に、その言葉はセンセーショナルに拡散されてしまう。それから4年後。「本当の贖罪(しょくざい)をしたい」と言い残した少年Bが殺害される事件が起きる。刑事は第一容疑者として桧山に照準を合わせたが――。

本ドラマで倉科が演じるのは、桧山の妻・祥子の中学時代の友人で、現在は桧山の娘、愛実が通う保育園の保育士みゆき。桧山たち親子に寄り添い、優しく見守っていた彼女だが、その過去には"桧山には言えない秘密"があった。倉科は、このみゆきという女性が抱える複雑な心境を巧みに演じ分けたほか、みゆきの中学生時代を描いた回想シーンでは、当時27歳だったという倉科自身が中学生の芝居を披露。詳細はネタバレになるため、ここでは詳しく記せないが、事件の鍵を握る重要なシーンとなる。本人は「現場では中学生に交じって制服姿になって、メンタルが追い詰められた」と苦笑いだったが、はかなさとあどけなさを感じさせるような芝居が深い印象を残す。

本作をあらためて観ると、加害者少年役に村上虹郎、北村匠海、清水尋也、事件を追う刑事役に町田啓太が出演するなど、現在注目の若手俳優たちの、ブレイク前夜ともいうべき姿が映し出されている。さらにカフェの店員役として、桜井玲香、西野七瀬、松村沙友理ら、乃木坂46卒業後に女優の道を歩む卒業生たちの初々しい姿も。そんなキャスティングの妙にも注目だ。

文=壬生智裕

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放送情報

連続ドラマW 天使のナイフ(全5話)
放送日時:2022年4月19日(火)1:30~
チャンネル:WOWOWプラス
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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