俳優、クリエーターとして活躍する伊藤万理華さんが主演を務め、映画界で評判を呼んだ映画「サマーフィルムにのって」(2021年)が日本映画専門チャンネルで放送される。さらに、乃木坂46時代の舞台「墓場、女子高生」(2016年)や短編映画「息をするように」(2021年)など、伊藤さんが出演する作品の特集も組まれている。
「『サマーフィルム―』が放送というだけでもうれしいのに、特集まで組んでいただけるなんて、こっぱずかしいです(笑)。『サマーフィルム―』は、乃木坂46を卒業した翌年の2018年から動き出した企画で、その2年後にようやく撮影と、時間をかけて制作されたものでした。規模の大きなプロジェクトに企画段階から関わることが初めてで、一生経験できない作品になるだろうと思っていました。公開後もこんなに愛される作品になるとは想像していなかったので、自分で言うのはおこがましいですが、代表作になったと思います」
MVなどで活躍する松本壮史が監督、劇団ロロの三浦直之が脚本を手掛け、個性あふれる青春映画が誕生した。伊藤さん演じるハダシは、時代劇オタクの映画部員。部活で時代劇を作れないなら、自分で作ろうとスタッフを集め、主人公には未来から来た凛太郎(金子大地)を抜てきする。
「監督から『ハダシが見るべき時代劇リスト』をいただいて、勝新太郎さんの『座頭市物語』や『椿三十郎』(共に1962年)などを見ました。エンタメが詰まっていて、夢中になるハダシの気持ちが分かりました。ハダシは大好きな"座頭市"の勝新太郎さんと同じ剣の持ち方をするので、すごく研究しました。構える時は重心を低くして、荒っぽく...。独特の白目も意識しました(笑)」
今作最大の目玉であるラストシーンの殺陣は、かなりの自主練習を積んだそう。
「実はコロナの影響で、撮影が3ヶ月中断したんです。映画の未来が危ぶまれるという本作のストーリーとリアルが妙にリンクして、気持ちも重なりました。でも、気持ちが途切れたら終わってしまうと思ったので、ずっとハダシの気持ちのまま、1人で殺陣を練習していました」
恋と友情と時代劇にSFもミックスされた独特の作品だが、違和感なく見る者を引き込み、伊藤さん自身も没入したと語る。
「ハダシか、自分か、どっちがどっちか分からなくなることもありました。ここまで役にのめり込んだのは初めてです。この映画を通して、好きなものを諦めない情熱を感じてもらえたらうれしいです」
いとう・まりか●1996年2月20日生まれ、神奈川県出身。2017年、約6年間在籍した乃木坂46を卒業。俳優として活動する一方、クリエーターとして個展を不定期開催。主な出演作は『映画 賭ケグルイ』(2019年)、主演ドラマ「お耳に合いましたら。」(2021年、テレビ東京)など。出演映画『もっと超越した所へ。』が2022年に公開予定。『サマーフィルムにのって』で「第13回TAМA映画賞」最優秀新進女優賞に続き、「第31回日本映画批評家大賞」新人女優賞(小森和子賞)を受賞。
撮影=大川晋児 取材・文=及川静 衣装協力=iI
放送情報
サマーフィルムにのって
放送日時:2022年5月22日(日)7:55~
チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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