妻夫木聡の意外なハマり役！長澤まさみ、染谷将太らも集結したメガ盛りエンタメ超大作

昨年中国で公開され、『アベンジャーズ／エンドゲーム』(2019年)が打ち立てた全世界オープニング興行収入首位の記録を抜き、話題になった作品がある。それが、コメディ・ミステリー・アクション・ドラマ...と全ジャンルを盛り込んだ超エンタメ大作『唐人街探偵 東京MISSION』(2021年)だ。公開された初日に約164億円の興行収入を記録、公開4日間で中国国内最速となる興行収入約490億円を突破するなど、数々の記録を塗り替えた。

本作は、中国のスター俳優ワン・バオチャンとリウ・ハオランが共演し、世界中のチャイナタウンで難事件を解決する大人気シリーズの第3弾。タイ・バンコクを舞台にしたシリーズ1作目『唐人街探偵 THE BEGINNING』(2015年)、ニューヨークでの騒動を描いた2作目『唐人街探偵 NEW YORK MISSION』(2018年)も大ヒットを記録した。

シリーズ3作目の舞台に選ばれたのは、日本・東京。お調子者の自称探偵タン・レンと甥の天才青年チン・フォンの凸凹探偵コンビのもとに、日本からヤクザの組長の冤罪証明依頼が届く。マフィアの会長が密室で殺害された事件の犯人として起訴された組長の潔白を証明すべく、事件解決へと動き出し...。日本とタイの探偵も加わって、ヤクザ絡みの密室殺人事件解決のミッションに挑むというグローバルなストーリーだ。

ストーリーのみならず、本作は日本人キャストの出演も大きな話題を呼んだ。日本人イケメン探偵・野田に抜擢された妻夫木聡は2作目に続いて、コミカルな演技と流暢な中国語も披露している。加えて、事件の依頼人かつヤクザの組長役に三浦友和、誘拐事件に巻き込まれるマフィアの会長秘書役に長澤まさみ、指名手配中の殺人犯役で染谷将太も出演。他にも鈴木保奈美や浅野忠信ら、日本を代表する俳優陣が集結した。さらに、タイ出身のアクションスター、トニー・ジャーや香港映画界の重鎮アンディ・ラウまで、次々と登場するキャストがとにかく豪華だ。

多額の予算を投じて日本で大規模ロケが敢行され、リアルな日本らしさも映し出された。新宿・歌舞伎町や秋葉原の電気街、東京タワー、横浜中華街など、観光地としてお馴染みの場所が登場する。道路を完全封鎖して行われたカーアクションはド派手かつ迫力満点で、日本的要素を取り入れた乱闘シーンなど笑える仕掛けも満載。デフォルメされた日本で、主演2人のコンビ感はそのままに、中国・日本・タイのアジア3国が力を合わせて一体となっていく様が描かれている。中国コメディらしいテンポ良いストーリー、ラストに向けて怒涛の展開で駆け抜けていく疾走感も気持ちいい。

その桁違いのスケールとお祭り感たっぷりの世界観を支えているのは、アジアのスター俳優に負けない日本人キャストの演技の素晴らしさだろう。三浦や浅野らベテラン勢だけでなく、圧倒的な美しさでヒロイン的ポジションを担う長澤や、謎めいた雰囲気を醸し出す染谷など、彼らのイメージを最大限に活かしたキャスティングとなっている。特に、キザなナルシストだが憎めないキャラクター・野田は妻夫木にうってつけのハマり役と言える。やたらと派手な柄物衣装もさらりと着こなし、強烈な存在感を見せた。

超大作での日本人キャストの熱演も見どころになっている『唐人街探偵 東京MISSION』。豪快に笑って泣ける"ザ・エンターテイメント"な本作で、その魅力を満喫してほしい。

文＝中川菜都美

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