北村匠海がカリスマネット探偵に！人並み外れた検索能力を駆使し、在宅で事件を解決

物静かな少年から、タイムリープを重ねる中で成長するヤンキーまで、幅広い役柄をすんなり我がものとする演技力で知られる北村匠海。小学生の時に子役として芸能界デビューを果たした彼は、『DIVE!!』『重力ピエロ』『TAJOMARU』『沈まぬ太陽』『シュアリー・サムデイ』などで、名だたる俳優が演じる主人公の幼少期を歴任してきたという経歴の持ち主。観る者にさまざまな感情を伝える大きな瞳と、それを縁取る長く美しいまつげはそのままに、青年へと成長した。

2016年の『あやしい彼女』では、不思議な力で若返った自分の祖母だと知らずに、ヒロインの節子に惹かれ、自らのバンドのボーカルに迎える青年・翼を軽やかに好演。そして、2017年の映画『君の膵臓をたべたい』では、浜辺美波演じるヒロインと静かに惹かれ合う「僕」を抑制の効いた演技で見事に演じ、大きな注目を集めたことでも知られている。その後は、『君は月夜に光り輝く』での控えめな男子高校生を自然体の演技で表現したかと思えば、『とんかつDJアゲ太郎』では、とんかつ店とDJの共通点を見出し、「とんかつもフロアもアゲられる男」を目指す青年を絶妙なテンポ感で演じるなど、多彩な役柄で高い演技力を披露している。

俳優業と並行して、ダンスロックバンド・DISH//のボーカル＆ギターとしても活動している北村。作詞だけでなく作曲にも挑戦し、マルチな才能を開花させている。そんな彼が実家の子供部屋から出ない"子供部屋おじさん"ながら、並外れた検索能力を誇る"カリスマネット探偵"という顔を持つ青年を演じたのが、「名探偵ステイホームズ」だ。

主人公は、母・恵美(鈴木保奈美)と2人で実家に暮らす青年・相田アタル。リモート会議中に社長の愚痴をSNSに書いたことから会社を解雇された彼は、酒に酔ったまま、憂さ晴らしのために人気アイドルの不倫の痕跡を探し始める。持ち前の検索能力を発揮し、不倫の痕跡をネットのログから収集したアタルは誹謗中傷を書き込むが、名誉毀損罪で告訴されることに。そんな彼の元に刑事がやってきて、「君の検索能力を買って頼みがある。協力してくれたら告訴を帳消しにしよう」と囁く――。

北村演じるアタルは、過去に負った心の傷をきっかけに自宅に引きこもってしまった人物。とは言え、日本語勉強中のイギリス人の友人がいるなど、ネットでの交流は活発という現代的な若者として描かれている。また、マンガやフィギュアに囲まれた子ども部屋の2段ベッドに寝ていたり、アメリカンドッグにもつけて食べるほどにからしが大好きだったりと、癖のある人物だ。そんなアタルを、北村は肩の抜けた自然な演技とコロコロと変わるコミカルな表情、そしてリズミカルなセリフ回しで見事に表現した。なかでも、捜査のアシスタントとして、アタルが理想とするショートボブの美少女・智子(森川葵)と初めて会うシーンで北村が発する、驚きと喜びがない交ぜになった叫び声としぐさには要注目だ。

安楽椅子探偵という、部屋から一歩も出ずに事件を解決するミステリ作品の定番を、現代的にアレンジした新感覚サスペンスコメディ。本作で北村が披露した軽妙な演技を堪能して欲しい。

文＝中村実香

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