N H K大河ドラマ『真田丸』が話題となった2016年に公開されたエンタテインメントスペクタクル映画が『真田十勇士』である。同時期に舞台化もされた本作の監督は『20世紀少年』3部作、『トリック』シリーズ、『SPEC』シリーズを手がけた堤幸彦で、真田幸村(加藤雅也)が実はヘタレだったという大胆な解釈で脚本を書いたのはマキノノゾミと鈴木哲也。主演は猿飛佐助を演じた中村勘九郎で、その相棒、霧隠才蔵を松坂桃李が、幸村をバックアップして徳川に攻めこむ十勇士に最後に加わる根津甚八と豊臣秀頼の2役を永山絢斗が、女忍者・火垂役を時代劇初挑戦の大島優子が演じている。ちなみに忍びの里を抜けた猿飛佐助、霧隠才蔵と火垂は敵対関係にあるものの、元々は幼馴染み。大阪冬の陣、夏の陣と壮大な合戦の映像は映画ならではの迫力で、気弱な幸村が出陣の号令をかける時に声が裏返ってしまったり、笑える要素も盛りだくさん。特に幼馴染みの3人が出てくるシーンにはほっこりさせられる。十勇士の中でも一番のイケメンを演じた松坂桃李とツンデレのくノ一・大島優子の演技を振り返ってみると?
■クールな美青年役の松坂とお調子者で情に熱い役の勘九郎
猿飛佐助と雲隠才蔵は対照的な性格だからこそ鉄壁のコンビ。「荷が重いな」とやる気も作戦を立てる気もない幸村を陰でサポートし、動かしているのが佐助と才蔵という設定で物語が展開していく。最初は九勇士だったのが十勇士になるのは勇士の名を語って悪さをしていた根津甚八を佐助が誘ったからなのだが、才蔵はそんな佐助を「また得意の行き当たりばったりか」と呆れながらも十勇士の方が語呂がいいからと言い聞かせて渋々、納得。俳優として巻き込まれたり、葛藤する役柄を多く演じている松坂桃李だが、美青年で判断はつねに冷静、論理的だが、キレたら容赦はしない才蔵役をクールに演じている。幼馴染みのコンビの前に現れ、なぜ連れて逃げてくれなかったと才蔵に告白する火垂を演じる大島優子は華麗なワイヤーアクションを見せながらもキュート。大阪の戦を心配する火垂に「俺は誰にも殺されねえ。オマエに殺されるまではね」と才蔵が返すシーンは色男マックスである。
■忍び役の大島優子の一途な恋の行方も気になる?
気は強いが才蔵にはめっぽう弱い火垂に才蔵からのありもしない伝言を伝えに行くのが戦も人の恋愛も面白がり、人生を楽しむ佐助だ。やんちゃな男のこの悪知恵により、大阪夏の陣には敗退するものの、企みが後半の思いもよらない作戦に繋がっていく。忍びとして愛する者を殺さなければならない使命の中、揺れる女心を表現した大島優子とクールに振る舞っているが、仲間を戦で殺された時に見せる表情や親友と火垂にだけ見せる人間臭さのギャップを魅力的に見せた松坂桃李。派手なアクションシーンのみならず、一途な2人の恋の行方も本作のスイートな隠し味となっている。
文=山本弘子
放送情報
真田十勇士
放送日時:2022年7月14日(木)06:00~
チャンネル:WOWOW4K
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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