西島秀俊がド派手なアクションシーンに挑戦!ストーリーの謎にも引き込まれる日韓合作の映画『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』

映画『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』で主演を務めた西島秀俊
映画『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』で主演を務めた西島秀俊

主演映画『ドライブ・マイ・カー』が第94回アカデミー賞で日本映画史上初となる作品賞や監督賞など計4部門にノミネートされ、今や世界的な俳優となった西島秀俊だが、以前から海外の監督とタッグを組み、高い評価を得てきたことをご存知な方も多いだろう。イランの名匠アミール・ナデリ監督と組み、2011年に製作された主演映画『CUT』では自分が信じる映画のために殴られ屋までしてお金を稼ぐ監督を演じ、第68回ヴェネチア国際映画祭でワールドプレミア上映された。その後、『美しき野獣』のキム・ソンス監督と組み、日韓合作で映画化されたサスペンスアクション『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』(原作は司城志朗のヒット小説「ゲノムハザード」)では、意外にも42才にして初の本格アクションにチャレンジ。その迫力もさることながら、韓国人の天才科学者オ・ジヌの記憶がデザイン会社に勤める日本人・石神武人の記憶と混在してしまうという難しい役どころを見事に演じきった。スタントマンを使わずハードかつド派手なアクションを自らこなし(疾走シーンひとつとっても半端ではない)、韓国語と日本語を操り、アイデンティティを失い、翻弄される主人公の心理を表現した西島の役者魂に圧倒される。

アクションシーンで銃を構える西島秀俊
アクションシーンで銃を構える西島秀俊

■生命がけで逃走する西島の迫力のアクションシーン

映画は枯れた花束と1枚の写真を持ち、ボロボロの格好で主人公が遊園地を彷徨う謎めいたシーンから始まる。そのオープニングが終盤へと繋がっていくのだが、視聴者も「いったい、何が起きているんだ?」とザワザワする感覚に襲われ、物語の中に引き込まれていく。不可思議なことは石神(西島)が誕生日の花を買って自宅に帰った日から始まる。キャンドルが敷き詰められた真っ暗な部屋は妻のサプライズかと思いきや、そこには妻の死体が...。暗がりの中、動揺する石神のもとに妻からの着信があり、ますます混乱する石神は、警視庁だと名乗る謎の男たちに車で連れ去られてしまう。その男たちにオ・ジヌと呼ばれ、身の危険を感じた石神は逃走。ド派手なカーチェイスの末に助けを求めたのは来日中の韓国人の記者、ジウォン(キム・ヒョジン)。彼女は記憶が曖昧な石神を不審に思い、追手から匿いながら独自に石神の過去の調査を進めていく。

男たちに追われ、ビルのトイレから飛び降り、デザイナーとは思えない科学の知識を用いて追手を煙に巻き、足を滑らせたら間一髪のガラスの屋根をつたって逃げ、壁を乗り越え、階段を駆け上り、全力疾走するシーンなど息を呑むアクションの連続。当時、西島は危ないこともどんどんやりたいと語っているが、温厚で優しいイメージの裏には妥協を許さない役者としての熱い炎が燃え盛っている。その情熱をリアルに感じさせてくれる演技が堪能できる。

■自分が何者なのか混乱して我を失う主人公を熱演

記者に「消えた死体は本当に奥さんだったんですか?」と問われ、「愛する人が目の前で死んでたんですよ!」と怒鳴り、左利きだったのに右手を使っていることを友人に指摘され、どんどん記憶が薄れ、混乱していく石神は誰も信じられなくなり、もう1度、自分が住んでいた家を訪ねてみると別の夫婦が暮らしていることを知り、愕然として泣き崩れる。調査を重ね、アートスクール時代の石神の写真が別人だったことを知った記者は自分が立てた仮説をぶつけると、感情的になった石神が無意識に日本語と韓国語を混ぜて喋りだすシーンはミステリーそのもの。石神だと思っている自分はいったい何者なのか? やがて石神はソウルに飛び、アルツハイマーの治療薬を研究していた天才科学者、オ・ジヌに起こったことを知ることになる。記憶を塗り替えられた主人公はどうなってしまうのか? 後半の西島の迫真の演技まで目が離せない。

文=山本弘子

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放送情報

『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』
放送日時:2022年8月3日(水)21:00~、2022年8月15日(月)03:50~
チャンネル:WOWOW 4k、WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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