本年度アカデミー賞国際長編映画賞を獲得した『ドライブ・マイ・カー』をはじめ、ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」「書けないッ!?~脚本家吉丸圭佑の筋書きのない生活~」など、近年は特にひと筋縄ではいかないキャラクターを演じ、高い評価を受ける俳優・岡田将生。正統派の二枚目のみならず、そこにどこか残念な部分や、屈折した部分などがある役柄を演じると絶品で、その高い演技力から繰り広げられる幅広い役柄が魅力となっている。
2006年にデビューを果たした岡田は、翌年に映画『天然コケッコー』や、ドラマ「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」、「メンズポッキー」CMといった話題作に続々と出演して注目を集める。さらに2008年から2009年にかけて公開された数多くの映画に主要キャストとして出演し、その年の映画賞新人賞を席巻した。ちょうどそんな時期に公開された、岡田の映画初主演作が『ホノカアボーイ』。ハワイのゆるやかな雰囲気と温かみのある物語が魅力となっている本作が8月16日にWOWOWで放送される。
本作の原作は、ファッションブランド、ポータークラシックを手がける吉田玲雄の同名エッセイ。ハワイ島の北、ホノカアという小さな日系移民の町を舞台に、どこか懐かしさを感じさせるような、温かみのある物語がオールハワイロケで展開されている。そしてそんな同作を映像化するために豪華なスタッフが集まった。「牛乳に相談だ」「キシリシュ」など数々の人気CMを手がけた真田敦が監督、集英社文庫ナツイチやJRAのCLUB KEIBAキャンペーンなど数々のキャンペーンを手がけたCMプランナーの高崎卓馬が脚本。さらに人気料理家の高山なおみが料理、女性写真家の市橋織江が撮影。さらに音楽プロデューサーに桑原茂一、そして主題歌は小泉今日子。その作詞・作曲を斉藤和義が担当するなど、各ジャンルのプロフェッショナルたちが集まった。
岡田演じる主人公のレオは、他人との距離をうまくとれない不器用で繊細な青年。ひょんなことから彼はハワイ島のホノカアに住みつき、街の映画館で働くことになる。そんな彼がある日、街で一番有名な、偏屈でいたずら好きなビー(倍賞千恵子)と出会う。そこでなぜかビーに気に入られたレオは、「明日から毎日ここでご飯を食べていきなさい」と言われたことから、ビーとの不思議な交流の日々が始まることとなる。
どこかあどけなさを残しながらも、まさに少年から青年へと成長していく過程のレオというキャラクターを体現した岡田。それは俳優としての彼自身にもシンクロするようなものがあったようで、脚本の高崎からも「脚本にする前から、レオは岡田くんだった。今の岡田将生でしかありえないキャラクター」とお墨付き。岡田自身も「自分ではそう思わないけど、人から素直とは言われるので、そこは似ているかも」と感じたという。劇中のビーとレオ同様、撮影中は倍賞と岡田ともにコミュニケーションをしっかりととって、とても仲良く過ごしていたそうで、その仲の良さが、画面からも伝わってくるようだ。
けっして派手な事件が起きるような映画ではないが。どこか懐かしい雰囲気に包まれて、じんわりとした気持ちになる。そんな温かさが魅力の作品となっている。
文=壬生智裕
放送情報
ホノカアボーイ
放送日時:2022年8月16日(火)21:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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