千葉雄大の女装姿が可愛い!内野聖陽津川雅彦がコンビを組んだ「松本清張:スペシャル 時間の習俗」に注目!

「ミステリーの帝王」とも称される推理作家・松本清張。その作品の多くが映像化され、ヒット作も枚挙にいとまがない。中でも初期の代表作である「時間の習俗」は、清張の名を知らしめた出世作の「点と線」に続いて1962年に刊行された作品で、ファンには根強い人気を誇る。「点と線」に登場する三原警部補と鳥飼刑事が再び探偵役となり、2014年のフジテレビ系ドラマ「松本清張スペシャル 時間の習俗」では、三原警部補を内野聖陽、鳥飼刑事を津川雅彦が演じている。

あやしげな加藤雅也と内野聖陽
あやしげな加藤雅也と内野聖陽

(C)フジテレビジョン

ストーリーは、オークションで年代物カメラを1億円で落札した若手注目株の衆議院議員・峰岡周一(加藤雅也)を巡って展開する。峰岡は時代の寵児というべき有名人だが、三原(内野)は相模湖畔で起こった殺人事件に峰岡が関わっていると疑う。被害者の新聞記者・土肥は、峰岡の周りを嗅ぎまわっていて、事件当日に相模湖付近のホテルで女と密会した後、殺されていた。だが女の行方はまったくつかめず、峰岡には鉄壁のアリバイがあった。土肥が殺害された数時間後に、峰岡は相模湖から1000km離れた北九州市の和布刈(めかり)神社で行われていた神事を見物し、写真に収めていたのである。

それでも峰岡の犯行を怪しむ三原は福岡へ飛び、ベテラン刑事の鳥飼(津川)と落ち合い、捜査を開始する。そんな中、若い男の死体が水城(みずき)で見つかる。捜査を進めるうちに、2つの事件の関連性が浮かび上がるのだった...。

本作のキモは、写真のトリックと土肥殺害に関わっていると思われる行方不明の女性の存在だ。ウィリアム・アイリッシュの名作ミステリー小説「幻の女」を連想させる、いかにも魅力的な設定に視聴者は大いに引き付けられるはずだ。

そして、三原たちは土肥の事件の時にたまたま写っていた防犯カメラの映像と、遠く離れた福岡で殺された男のそばにあったアクセサリーが一致したことに気づく。アクセサリーの販売経路から、須貝新太郎(千葉雄大)というゲイボーイが浮かび上がる。福岡で殺害されたのは、この須貝だったのだ。

本作は、男性俳優陣の顔ぶれが魅力的で、内野の男臭さや津川の渋さもいいのだが、やはり加藤演じる峰岡のセクシーさとなんともいえない怪しさにくぎ付けになる。だが、さらにゲイボーイという難しい役どころに挑んだ千葉雄大こそが、殊勲賞ものの演技だったのではないだろうか。
察しのいい方ならここまで読んで、「幻の女」が須貝であったことに気づかれるかもしれない。ネタバラシになってしまうが、須貝は峰岡と深い関係にあったのだ。しかし、峰岡には妻子があり、須貝とのスキャンダルが発覚すれば政治家生命が終わってしまう...。

須貝は、峰岡を愛するあまりに峰岡に協力して、最後は命を落としてしまう。本作は過去にも映像化されているが、事件のカギを握るもののこのゲイボーイは端役的な扱いだったことが多い。その点、人気俳優の千葉を起用したことからも須貝の存在感を高めたストーリーになっていて、まさに千葉が難役を見事にこなしている印象だ。女装姿もなかなか板についている。

同性愛というテーマを掘り下げた点も、性平等が社会的なテーマとしてクローズアップされている現代だからこそ響くと言える。学生時代に自分がゲイであることに悩んでいた時に峰岡と出会い、彼との愛を貫くことで須貝は生きる術を得る。峰岡もまた、自らのセクシャリティに悩んでいた様子で、加藤もそんな心のひだを巧みに表現していた。

アリバイ崩しを核とする本格ミステリードラマでありつつ、深みのある人間ドラマとしても優れた作品として仕上がっている「松本清張:スペシャル 時間の習俗」。魅力的な俳優たちの演技合戦としても見ごたえ十分なだけに、一見の価値ありだ。

文=渡辺敏樹

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放送情報

松本清張:時間の習俗(2014/4/10)
放送日時:2022年8月27日(土)18:30~
チャンネル:ホームドラマチャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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