あの天海祐希がドタバタハートフルコメディの主演に！立て続けに起こるお金のアクシデントに立ち向かう映画『老後の資金がありません！』

天海祐希が立て続けに起こるお金の問題やアクシデントに立ち向かい、奮闘する主婦を演じたのが『老後の資金がありません！』だ。原作は垣谷美雨のベストセラー小説で『こんな夜更けにバナナかよ　愛しき実話』の前田哲がメガホンをとり、2021年に大ヒットを記録。笑ったり、共感したり、ホロッとしたりのハートフルコメディ映画がコロナ禍で多くの人を楽しませた。"姉御肌のデキるキャリアウーマン"のイメージが強かった天海だが、主人公の篤子役は新たなチャレンジ。お金に無頓着で呑気な夫、章(松重豊)に呆れながらも、自分もパートに出ると失敗ばかり。それでも、家族のためにひたすら頑張る女性を演じている。長年連れ添った夫婦ならではの雰囲気を醸し出す松重とのコンビも、諸々の事情で一緒に暮らすことになった夫の母で浪費家の佳乃(草笛光子)とのドタバタも声を出して笑わずにはいられない。人生100年時代、老後の資金が2,000万円必要と言われる中、篤子を真っ青にさせる不測の事態が止まらない。

■頭を抱えながら孤軍奮闘する天海祐希のコメディエンヌっぷりが最高

憧れのブランドのバッグは我慢で、ヨガ教室に通うのが篤子の唯一のストレス解消法。フリーターの長女・まゆみ(新川優愛)と大学４年生の長男・勇人(瀬戸利樹)を育て上げ、子供たちに「また豚もやし鍋？」と言われながら質素に暮らしている。多発する思わぬ事態の始まりは章の父親が亡くなったこと。面倒を見ていた妹夫婦から母の代わりに喪主になって、葬儀代を出すように言われ、章は「喪主って何すればいいんだっけ？」とポッカーン。段取りを夫から任された篤子は葬儀屋のベテラン社員(友近)のトークに圧倒されて、高額なお葬式代を払って約400万の大赤字を出す。おまけにパートの契約が終了になり、仕事探しをしているところに長女がヘビメタ彼氏(加藤涼)を連れてきて、いきなりの結婚宣言。お坊ちゃまのバンドマンゆえ、600万の派手婚をしたいと言われ、篤子は半ば茫然自失。しかし、頭を抱える事態はまだまだ続く。今度はなんと夫の会社が倒産。章の母への仕送りができなくなり、妹夫婦に「お母さんは家が引き取ります！」とタンカを切り、カードでバンバンお買い物をしてしまう佳乃(草笛)と一緒に暮らすことになるのだ。フリーズしたり、険しい顔になったり、ブチ切れたりと財政危機に髪を振り乱して立ち向かう天海祐希のコメディエンヌっぷりがさすがである。

■心あたたまる夫婦の関係と姑とのドタバタ騒動に大笑い

章が情けない声で失業したと電話してきて、真っ暗になる篤子だったが、頭に浮かんだ不吉な想像にすぐさま気を取り直し、「なんとかなるから。絶対！」と励ましたり、結婚する娘が家を出ていき、落ち込んでいる夫の肩をさすったりと
篤子はいろんな意味で忙しい。実家にお金の相談をしに行ったら、両親がアロハシャツを着てサーフショップを経営していて話にならず、拍子抜けするなど、周りが呑気なだけに、ひとり奮闘し、迷走する様がなんとも言えずおかしいのだ。極めつけはヨガ友達(柴田理恵)に頼まれて、茶目っ気たっぷりの佳乃(草笛)と篤子が区役所の役人(三谷幸喜)を相手にひと芝居打つくだり。佳乃を連れて鬼の形相で逃走(？)するシーンも爆笑である。振り回されっぱなしの篤子のお金の行方は？果たしてホッとする幸せな時は訪れるのか？最後まで見逃せない。

文＝山本弘子

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