紅ゆずるが『鎌足-夢のまほろば、大和し美し-』の誕生秘話を語る「物語が自分の一生のものになるんじゃないかなという思いがあったので、逆指名しました」

宝塚歌劇の日本物だけを厳選して放送する、時代劇専門チャンネルの大人気企画「華麗なる宝塚歌劇の世界」。Season4も、熱烈な宝塚ファンとして知られるフリーアナウンサー・中井美穂と、ゲストのタカラジェンヌOGが当時の思い出を振り返る。9月19日(月・祝)22:00からは、2019年に日本青年館ホールで上演された星組公演『鎌足-夢のまほろば、大和し美し-』千秋楽のステージをピックアップ。主人公・中臣鎌足を演じた紅ゆずるをゲストに招いたナビゲート番組も併せて放送する。今回、収録後の紅にインタビューを行い、収録の感想や上演当時の思い出などについて語ってもらった。

『鎌足 -夢のまほろば、大和し美し-』で中臣鎌足を演じた紅ゆずる
『鎌足 -夢のまほろば、大和し美し-』で中臣鎌足を演じた紅ゆずる

――本日の中井さんとのトークのご感想をお聞かせください。

「2008年の『THE SCARLET PIMPERNEL(スカーレット ピンパーネル)』新人公演の時からお仕事をさせていただいているのですが、業界の目線とファンの目線の両方で見てくださるところが、お話していて、すごく心地いいなと思いました。 中井さんは、宝塚歌劇がお好きなのはもちろんですが、上演されている物語自体のこともしっかり把握されていて、ファンの方が何を求めているのかということや演劇的な要素のこともお分かりになっていらっしゃるんですよね。自分の舞台のことが話題ではあるのですが、中井さんのお話を聞いて『あー、そうだな』と、改めて思い返すことが毎回あるので、中井さんとのお仕事はすごく大好きです」

――今回放送の『鎌足-夢のまほろば、大和し美し-』は、古代を舞台にした作品ですね。

「平安時代ですと、とても華やかで雅な感じになるんですが、それより前の大化の改新の時代なので、一番地味な時代ではあるんですよね。そして中国からの影響をすごく受けていて、着物の襟合わせも左前だったりします。お衣装も控え目なんですけど、私は大好きです。そういった演目を宝塚歌劇でやるからこそ美しく映ることが、古代ものの最大の魅力だと思います。素朴ですが、その中から何か洗練されたものをお届けできるのが、宝塚歌劇ならではじゃないかと思います」

――お手元に届いたファンの方からのお手紙には『鎌足-夢のまほろば、大和し美し-』へどのような感想が多かったのか、お聞かせください。

「私が『やった!』と思ったのは、『鎌足さん、ごめんなさい』というご感想をいただいた時でしたね(笑)。『あかねさす紫の花』やら『飛鳥夕映え-蘇我入鹿-』といった演目から、「中臣鎌足=悪人」のようなイメージが宝塚歌劇ではあったのですが、それをちょっと覆すことができたかもしれないな、と思いました。あとは紅ゆずるが退団するにあたり、最後の小劇場公演だったので、ファンの方からは『こんなに近くで観られるのはもう最後です』といった意見がすごく多かったですね」

――本作は、紅さんが宝塚歌劇団所属の演出家・生田大和先生を逆指名されたことから誕生したそうですが、なぜ生田先生をお選びになったのかお聞かせいただけますか?

「よくぞ聞いてくださいました。生田先生は、2018年の中村暁先生演出の『うたかたの恋』で助手をされていたのですが、当時、私はルドルフを演じるにあたって、すごく抵抗があったんです。『真っ白な王子様みたいな役、似合うよ』と言っていただけて、とても嬉しかったのですが、"王子様"のように演じなきゃいけないということが難しく、私が考えに考えて役作りしている時に、生田先生が『どうしたんですか?』と声を掛けてくださって。そこで私は『絶対ルドルフはそんなに綺麗な王子様じゃないと思っていた』と言ったら、『僕もそう思います』という言葉が生田先生から返ってきたんですよ。その時、ルドルフについてかなり熱く語ってから私の中で役に対するイメージが一気に変わりました。

その時は、脚本を書かれた柴田侑宏先生もご存命で、お稽古場を見てくださった時に、生田先生と意見を交わしたことで生まれた、私のルドルフ一度演じてみようと思ってやってみたんです。そうしたら、柴田先生に『よくこの高みを超えた』と言っていただけて、生田先生と『私たちの考えていることは間違っていないのかもしれない!』と喜び合いました。そういう経験から、『きっと生田先生だったら私の思いを感じ取ってくれるだろうな』とか『私がどういう意図でやりたいのか』を考えるようになりました。下級生の頃からずっと私のことを見てくださっていますし、私が最後の小劇場で演じることで、物語が自分の一生のものになるんじゃないかなという思いがあったので、逆指名しました。先生のおかげで、今でも再演したいぐらい大好きで大切な作品になりました」

文=中村実香

カメラマン=皆藤健治

ヘアメイク=miura(JOUER)

スタイリスト=津野真吾(impiger)

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放送情報

【華麗なる宝塚歌劇の世界 ~Season4~】 (舞台) 鎌足-夢のまほろば、大和し美し-('19年星組 日本青年館ホール・千秋楽) 出演:紅ゆずる /綺咲愛里 ほか ※前後解説付き ゲスト:紅ゆずる
放送日時:2022年9月19日(月・祝)22:00~ほか
チャンネル:時代劇専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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