桃井かおりの大女優たるゆえんに刮目!家族のシーンで魅せた円熟した芝居とは

2005年にハリウッド映画初出演を果たし、2006年に長編映画監督デビュー、さらにはジュエリーデザインや雑誌の創刊など役者業に留まらない活躍を見せ、2022年春の叙勲で旭日小章綬章を受賞した大女優・桃井かおり。そんな彼女の円熟した芝居が堪能できるのがドラマ「女検事 霞 夕子8『死なれては困る』」だ。

同作品は、夏樹静子による小説「死なれては困る」をドラマ化したもので、桃井演じる敏腕検事・夕子が事件解決に挑む人気シリーズの第8作目。植物状態で入院中の会社社長を暴力団組員が襲い負傷させたという事件を担当することになった夕子は、被疑者の「入院中の別の組の組長を殺害しようとして病室を間違えた」という供述が引っ掛かり、事件の真相を追い始める、というストーリー。

夕子が夏樹作品の特徴ともいえる女性ならではのコミュニケーション能力と"気付き"によって事件の裏に隠された真実を明らかにしていく様子を、桃井は自然でありながらも観る者の印象に残る"くせ"のある演技で表現しており、放送当時の男性社会の中で強かに生きる強い女性を熱演。聞き込みでの話し方や口調、不審に感じる瞬間の表情など、ごく自然に演じながらも視聴者に分かりやすい"くせ"をまぶして、桃井にしか演じられない夕子を作り上げている。

そんな中で最も役者としての凄みを感じさせるのが、家族とのシーンだ。"凄み"と表現したが、それは鬼気迫る姿や悲しみに打ちひしがれる表情という感情が露わになる場面ではなく家族との何の変哲もない日常のシーンなのだが、ここが凄い。外では検事として事件の謎を追って必死に仕事をしている夕子が普通の妻・母親としての顔を取り戻す瞬間で、基本的に夕子の夫、息子、夕子の母親との4人の会話劇が展開されるのだが、このシーンでの桃井は夕子を一瞬にして所帯染みた主婦の顔へと変ぼうさせ、「全てがアドリブなのでは?」と思わせるほどの家族たちとの丁々発止なやりとりを披露。事件の真相に迫る一面とは違った、ソフトでおかしみのある面を見せることで、キャラクターの深みを表している。

実はこのシーン、夕子が人間味あふれる人物であることを描いた大事なシーンで、人間味あふれる夕子だからこそ真犯人の心情の糸を手繰り寄せることができ、真相を明らかにすることができるという本筋にも影響するポイントであることも追記しておきたい。

女優という職業は(例外も少なくないが)年齢と見合う役を演じるため、いつがピークであるか断じることはできないが、しかしそれでも同作品は桃井の数ある脂が乗った時期の1つであることは間違いなく、観れば彼女の大女優たる所以に触れることができる。光石研、平泉成、あめくみちこ、小沢和義(当時は小澤一義で出演)といった名バイプレーヤーたちの若かりし姿に加え、桃井の"くせ"のある演技に注目してもらいたい。

文=原田健

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放送情報

女検事 霞 夕子8「死なれては困る」
放送日時:2022年10月2日(日)22:30~
チャンネル:ホームドラマチャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

最新の放送情報はスカパー!公式サイトへ

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