誰もが目を奪われるほどに端正なビジュアルと、どんな役柄にも染まる演技力が魅力の俳優・岡田将生。2006年のデビュー以来、さまざまなドラマや映画、舞台に出演。少女漫画原作のラブコメディから大河ドラマまで、あらゆるジャンルの作品で視聴者に鮮烈な印象を残し続けてきた実力派だ。今年は第94回米アカデミー賞国際長編映画賞をはじめ、世界各国の映画賞で高い評価を得た『ドライブ・マイ・カー』で、物語を大きく動かすキーパーソンでもある俳優・高槻を演じ、その存在が世界的に知られたことも記憶に新しい。
そんな岡田が生まれながらの異能者をクールに演じた映画が『ストレイヤーズ・クロニクル』だ。
気鋭のミステリー作家・本多孝好の同名ベストセラー小説を『デスノート』『GANTZ』の製作チームが映画化した本作は、人の手によって超人的な能力を持って生まれた若者たちの苛酷な運命を描くSFアクション。1990年代初め、人間が自らの手で進化できるのかを検証するため、とある極秘機関は実験を開始。その結果、突然変異的に人間の潜在能力を極限まで発揮できる子供たちと、遺伝子操作によって違う生物の能力が宿った子供たちという2組の"進化した"子供たちが誕生した。後に機関は閉鎖され、視力・聴力・筋力が異常に発達したグループの子供たちは、計画の中枢にいた外務副大臣・渡瀬(伊原剛志)から闇の仕事を請け負うことになる。しかし、彼らはやがて意外な面々との戦いへ身を投じることに――。
本作で岡田が演じるのは、脳内ホルモンを操作して異常進化を促し、人間の限界を超える身体能力を発揮できるグループのリーダー・昴。「昴兄」と呼ばれ、年下の仲間から慕われている存在。岡田は、どこか気品の漂う穏やかな口調と柔和な微笑みで、頼れる兄貴分でもある昴を体現。また、神経線維の驚異的な伝達速度によって、あらゆる攻撃をかわすことができるといった特殊能力を披露するシーンでは、相手の攻撃をエレガントな身のこなしでかわし、鋭いスライディングや華麗なハイキック、そして寝技といったさまざまなアクションを披露している。
物語が進むにつれ、車椅子に乗った青年・学(染谷将太)率いる、遺伝子操作によって違う生物の能力を持って生まれてきたグループ「アゲハ」のメンバーとも対峙する昴たち。似たような境遇で生まれ育ち、互いの最大の理解者になり得る彼らと渡瀬との命令の間で揺れ動きながらも己の正義を見つけ出す昴を、岡田は内に秘めた決意や闘志を感じさせる瞳で見事に表現した。
学役の染谷をはじめ、成海璃子、松岡茉優、白石隼也、高月彩良、清水尋也、鈴木伸之、栁俊太郎、瀬戸利樹、黒島結菜ら、日本映画を担う若手俳優たちも共演するSF青春群像アクション。岡田の熱演と体当たりアクションに注目しながら、異能者たちが選ぶ未来を見届けて欲しい。
文=中村実香
放送情報
ストレイヤーズ・クロニクル
放送日時:2022年10月4日(火)21:00~
チャンネル:WOWOWシネマで放送
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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