古川雄輝平野綾が舞台「室温~夜の音楽~」で魅せる圧巻の「切り替え」演技

舞台「室温~夜の音楽~」(衛星劇場)
舞台「室温~夜の音楽~」(衛星劇場)

古川雄輝、平野綾といった豪華キャストが新演出版の名作に挑んだ作品が舞台「室温~夜の音楽~」だ。

同作品は、演劇界の第一線を走り続けるケラリーノ・サンドロヴィッチが作・演出した、人間が潜在的に秘めたる善と悪、正気と狂気の相反する感情を、恐怖と笑いに織り込んだ名作で、河原雅彦の手により新演出版として上演された。

田舎で2人暮らしをしているホラー作家・海老沢十三(堀部圭亮)と娘・キオリ(平野綾)。12年前、拉致・監禁の末、集団暴行を受け殺害されたキオリの双子の妹・サオリの命日の日に、さまざまな人々が海老沢家に集まってくる、というストーリー。

堀部圭亮、長井短、浜野謙太、我が家・坪倉由幸など演技に定評がある面々が出演する中、古川と平野はひと際素晴らしい演技を披露している。

ケラリーノ・サンドロヴィッチが作り上げた極上のストーリー、奇才・河原の演出はもちろん同舞台の特筆すべきポイントであるし、演者たちの芝居は総じて素晴らしい。キャラクターそれぞれの裏の顔、思い、思考などが入り混じり、始まったと思った矢先にクライマックスを迎えたと感じるほど、作品世界に引き込まれてしまう。

そんな中で、ネタバレのため詳しくは書けないが、観客の予想を裏切るジェットコースターのような展開が魅力で、その展開を担う役の表と裏の顔の切り替えが見どころの一つなのだが、古川と平野の切り替えは絶品。

本音と建前、他人に見せる顔と腹に何かを隠している時の顔、感情が漏れ出す瞬間など、表情、口調、声色、声のトーン、所作、動きの早さに至るまで、演じている人物像を損なわない範囲でガラッと変化させ、物語の展開に勢いをもたらしている。そして、その"切り替え"は同時に芝居の迫力を生み、観客の目をくぎ付けにする効果も与えている。

確かな演技力に裏打ちされたキャラクターの"切り替え"に圧倒されながら、珠玉の名作を味わってみてはいかがだろうか。

文=原田健

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放送情報

舞台「室温~夜の音楽~」
放送日時:2022年10月30日(日)18:30~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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