48歳になった現在でも引退を認めず、現役ボクサーを貫いている辰吉丈一郎。「浪速のジョー」と呼ばれ、カリスマ的な人気を誇った男のボクシング人生は激動そのものだった。両手を下げ、驚異的な反射神経で相手のパンチをかわす、ノーガードスタイル。そして試合前からKO宣言をぶち上げるビッグマウスなど、ストイックで真面目なタイプの多かったそれまでの日本人ボクサーとは一線を画す新たなヒーローの登場に日本中が注目した。1991年、当時の日本最短記録となるプロ8戦目でWBC世界バンタム級王座を獲得。1994年、薬師寺保栄との日本人世界チャンピオン同士の王座統一戦に敗北。そして網膜裂孔、網膜剥離を患い、何度も引退勧告されながらも復活を遂げ、1997年に世界王座を再び奪取するなど、まさに劇的なボクシング人生を歩んできたカリスマだった。
その辰吉丈一郎の次男が、現在21歳の辰吉寿以輝(じゅいき)だ。父・丈一郎と、兄・寿希也の影響で幼少時からボクシングにふれていた寿以輝は、プロボクサーを志し、中学卒業後に父と同じ大阪帝拳ジムに入門。一時は80㎏以上もあった体重を20㎏以上減量し、2014年にプロテストを受験し合格した。そして翌年4月にスーパーバンタム級4回戦で岩谷忠男を相手にプロデビュー。父のデビュー戦と同じ2ラウンドKO勝利を飾り、"浪速のジョー2世"誕生と騒がれた。その後も着実に勝利を積み重ね、プロデビューから通算8戦全勝(5KO)という数字を残している。どうしても偉大な父と比べられてしまうが、アマチュアボクシングを経験せずにプロ入りし、無敗を続けるのはそう簡単なことではない。パンチ力のパワーでは父より上との評価もあり、今後がますます注目される逸材だ。
そんな辰吉寿以輝のプロ9戦目となるスーパーバンタム級10回戦が、7月27日(金)、エディオンアリーナ大阪第2競技場で行われる。寿以輝にとって初の10回戦で、相手はインドネシアフェザー級王者のノルディ・マナカネという34歳のベテランだ。この一戦に快勝すれば、日本ランキング入りの可能性もあり、そうなれば年内の日本タイトル挑戦も現実味を帯びてくる。父・丈一郎はプロ9戦目に初黒星を喫しており、因縁の9戦目を不安視する声もあるが、寿以輝本人は「全然大丈夫。僕は負けないです」と不吉なジンクスも笑い飛ばしている。希代の天才ボクサー辰吉丈一郎のDNAを受け継ぎ、カリスマを継ぐ者として注目を集め続ける宿命を背負った辰吉寿以輝。プロのターニングポイントとなる可能性もある9戦目で豪快なKO勝ちを決められるか必見だ。
文=エンターバンク
放送情報
プロボクシング 辰吉寿以輝 第9戦
放送日時:2018年8月5日(日)17:00~
チャンネル:日テレジータス
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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