東京ヤクルトスワローズで外野手として活躍し、2015年に監督としてヤクルトを優勝に導いた真中満。ことしから「プロ野球ニュース2018」(フジテレビONE)で解説者として活躍している真中が、2018年シーズン後半戦を大予想!セ・パ両リーグの優勝チームや激戦必至のクライマックスシリーズ争いはもちろん、監督としての経験を生かした夏場の戦い方などを語ってもらった。
セ・リーグは広島独走も...CS争いは団子状態!
セ・リーグは広島が独走状態ですね。
「このままいくと(広島の)優勝確定ですね。ほかの5球団は、優勝までは厳しいかなというのが正直なところ。なぜなら今のセ・リーグの順位やゲーム差が、広島に向いているからです。2~6位が混戦なので、必然と5チームでつぶし合う展開になりますよね。そうなると1位のチームは安泰。例えば2チームで優勝を争っていると、上位の2チームは意外と負けない。なので、首位のチームからすると2位のチームがすごく嫌な存在になるんです。でも今は、2位以下が団子状態なので、広島にとって一番いい状況と言えます」
広島の強さは、どこにあるのでしょうか?
「やっぱり層が厚いですよね。野手は特に。ちょっと故障した選手が出ても、それを埋める選手がいっぱいいる。松山竜平がスタメンを外れたり、新井貴浩が代打に回ったりと、層がすごく厚い。ピッチャーも駒ぞろいですし、戦力のバランスがいいですよね」
広島の優勝は堅いとのことですが、クライマックスシリーズ(以下CS)争いは混戦ですね。
「5球団がすごく競り合っているので、CS争いは盛り上がりますよね。Aクラスはもちろん、どの球団も2位が狙える。故障者が出たり、ケガ人が戻って来たりなどで、順位は全然変わってきますからね。その中でも、ヤクルトが戦力的に充実していると思います。野手がそろっていて得点力が高い。夏場以降は打線が活発なチームが勝ちを拾っていくケースが多いので、広島に対抗する球団としてはヤクルトが一番手かなと」
そんなヤクルトのキーマンとなる選手は?
「山田哲人。ペナントレースの行方もそうなんですが、ことしも"トリプルスリー"という偉業が狙える。今の勢いだと、日本人初の"フォーティーフォーティー(40本塁打40盗塁)"の可能性も秘めている。そういった見方も面白みがあるかなって。足の状態がすごくいいから30盗塁は間違いない。ホームランもあと少しなので、トリプルスリーはほぼ確実かなと。厳しいですけど、三冠王の可能性もあると思いますよ」
広島、ヤクルトに次ぐ、CSの残り1枠で優位なチームは?
「巨人です。メルセデス投手が出てきたのが大きい。今やいないと困るような選手。菅野智之と山口俊に加えて、計算できる先発が1枚増えましたからね。外国人選手って意外と大ざっぱなところがあるんですけど、彼は日本人っぽいというか、制球力がしっかりしている。簡単にフォアボールも出さないし、ある程度コーナーを突いた投球ができています。それに加えて、ある程度強いボールが投げられる。日本に少ない系統の左ピッチャーなので、他球団はてこずっているのかなって。自滅することの少ない外国人ピッチャーなので、2回り目の対戦でも期待していいと思います」
パ・リーグは西武、日本ハムの一騎打ち!
ここからは優勝争いを含め、パ・リーグの展望をお聞かせください。
「優勝は西武か日本ハムのどちらかですかね。ソフトバンクはちょっと投手力が厳しいですね。サファテ、岩嵜翔という、昨シーズンの8、9回を投げていたピッチャーがいない。ソフトバンクの戦い方からすると、終盤にひっくり返される展開がほとんどなかったですが、ことしはひっくり返される試合が増えています。森唯斗とかがクローザーをやっていますけど、投手の起用が大変そうに見えます。そういうこともあり、西武と日本ハムの勝負になるのかなと。日本ハムは投手力とバランス、西武はとにかく打線が点を取ってピッチャーを助けるという両極端なチームなので、面白いですよね」
優勝争いのキーマンとなる選手はいますか?
「西武はみんな打つからね(笑)。西武は個人っていうより、とにかく打線の破壊力がすごい。後ろが中村剛也、メヒアの打線ですから。一発のある打者が1~9番までそろっているので、相手のピッチャーからすると気を許せない。組織としてというか"打線"として、相手に負担をかけられるのが西武打線の強み。だから、一人を挙げるのはちょっと難しいね」
一方、西武と優勝を争う日本ハムは、いかがでしょうか?
「とにかく投打のバランスがいい。近藤健介、中田翔、レアードのクリーンナップを中心に堅実に点を取って、しっかりとした投手力で抑えていくチーム。日本ハムの投手陣が西武打線をどう抑えるのか、直接対決は見どころですよね」
日本ハム逆転優勝に欠かせない選手は?
「やっぱり4番の中田が、このまま勝負強いバッティングを続けていけるかどうかですね。近藤と中田が、どうやって西武の投手陣から得点をいっぱい取るかがポイント。1番を打つ西川遥輝も開幕当初と比べて調子を上げてきたし、近藤の出塁も高い。中田の前にランナーを貯められるかですね」
パ・リーグは最後のひと枠争いが激しそうですね。
「3位は楽天に期待しています。ここから楽天が3位に食い込んでくるようだったら、勢いを感じますね、下克上じゃないですけど、クライマックスシリーズで一波乱を起こすんじゃないかなって。後半戦はそんな勢いを感じる、ここまでの戦い方ですよね」
楽天は後半戦の成績がいいですよね。前半戦と変わった点はどこにありますか?
「前半戦は何をやってもうまくいかなかったですよね。ピッチャーもそうですし、打線も低調だった。でもシーズンを通して、やっぱりチームには波があります。もちろん監督が変わったからという意見もありますけど、一年間を通して悪いということは全くない。後半戦に向けて調子が上がってきたときに、選手も集中できているのかなっていう気がします。楽天が西武や日本ハムという上位陣を、どう叩いていくかというのも見どころですね。もともと楽天はピッチャーがいい。則本昂大はいまひとつ調子に乗れていないですけど、岸孝之もいますし、先発の軸がしっかりしてはいますからね」
投手の台所事情が苦しい各チーム...後半戦は打線のカバーが必要!
真中さんは2015年シーズン、監督としてヤクルトを優勝へ導きました。優勝へ向けた夏場の戦い方とは、どういったことが大切になってくるのでしょうか?
「夏場はバッターが有利と言われているんですけど、この時期はピッチャーが体力的にしんどい。野手は元気があるので、ピッチャーをどう上手く起用していくかなんですよね。特に中継ぎで、各チームに40試合とか投げているピッチャーがいて、しんどいところ。そこをバランス良く使えるチームが、8、9月を乗り越えられる。投手をうまく休ませながら起用できるかがカギですよね」
ことしは、どの球団も救援陣の台所事情が苦しいですしね...
「しかも8月以降はピッチャーが苦しくなる時期。いつも接戦だと勝ちゲームのクローザー中心の継投になってしまいます。でも、それだとどうしても登板過多になって、チームの失速の原因となってしまいます。打線が西武みたいに大量点を取ってくれると、7、8、9回と、いろんなピッチャーを使えるので、打線が頑張って投手陣をカバーするっていうイメージが必要かなと思います。そういったこともあり、セ・リーグは広島とヤクルトが後半戦も強いかなと。巨人、DeNA、阪神にしても抑えの駒が苦しい。ヤクルトも中継ぎの近藤一樹や中尾輝がへばってきたけど、その分、打線が点を取って、ほかのピッチャーを使ったりできるケースがある。広島も同じで、そういった意味でもヤクルトが2位の確率は十分あると予想したんです」
なるほど。それでは最後に、後半戦のペナント争い以外の見どころを教えてください。
「セ・パともに、ハイレベルな打撃争いが見どころだと思います。セ・リーグは山田、バレンティン(ともにヤクルト)、筒香嘉智(DeNA)のホームラン王争い。筒香は少し調子を落としているけど、この3人のタイトル争いが見どころですね。パ・リーグは、秋山翔吾(西武)、近藤(日本ハム)、柳田悠岐(ソフトバンク)の3割4、5分というハイアベレージでの首位打者争い!能力の高い3人での争いは面白いですよ」
文=宮澤祐介
放送情報
プロ野球ニュース2018
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