新日本プロレスの1.4東京ドーム大会(通称:イッテンヨン)は、日本のプロレス界にとっても年間最大のイベントだ。この日は1年間積み重ねてきた「戦いの終わり」であり、これから1年間続いていく「戦いの始まり」でもある。
棚橋弘至にとってもイッテンヨンは特別な大会だ。2011年から5年連続メインイベントで勝利。「愛してま~す!」という歓喜の雄叫びで締めくくってきた。しかし、その記録は2016年に途切れる。前年のイッテンヨンで破ったオカダ・カズチカにリベンジを許し、IWGPヘビー級王座から転落してしまう。翌2017年は、セミファイナルで自分に憧れてプロレス界に入ってきた内藤哲也に敗北を喫した。「合同練習で練習生と一から始めるつもりで鍛えて、たたき直してきます」と悔しさをにじませた。
迎えた2018年のイッテンヨンは、セミファイナル前の第7試合に出場。若いジェイ・ホワイトを破って、3年ぶりに東京ドームで勝利を飾ったものの、棚橋は危機感を口にした。「体調を万全にして、みんなが喜ぶような試合をすれば、自ずと試合順も上がるし、またもう一度俺に風が吹くから」。棚橋の言葉からは、コンディションへの不安が垣間見えた。前年の12月から右ヒザの負傷で欠場し、この日が復帰戦だったが、それ以外にも負傷続きで文字通り満身創痍(そうい)だった。そしてドーム直後の1月末、再び右ヒザが悲鳴をあげ、またしてもリングから離れることになってしまう。
わずか1ヶ月半で復帰したものの、苦闘は続く。5. 4博多でIWGPヘビー級王者のオカダに挑戦したものの、自身が保持していた最多防衛記録の更新を許してしまう。試合後、「もっと強くなるから。過去の自分を絶対超えてやるから」と声を震わせた。そして8月、見事"真夏の最強戦士決定戦"『G1 CLIMAX』を制覇。2018年、6.9大阪城ホールのメインで、オカダを破ってIWGPヘビー級王者になった、ケニー・オメガに挑戦することに。棚橋は「1回この体を受け入れて、できる技で、できる戦略で、今の棚橋弘至で戦えばいい」と、自分の思い描く戦いができていると語る。
2018年は、4年ぶりにプロレス大賞のMVPも受賞。そして2019年、棚橋は3年ぶりに東京ドームのメインに立つ。記者会見で、ケニーは「棚橋では世界は変えられない」、棚橋は「ケニーのプロレスには"品"がない」と、互いのプロレスの価値観を激しくぶつけ合った。ケニーは「リング上でできることなら何でもやる」という最先端のプロレスを体現する強敵だが、棚橋は今できるプロレスを全力でぶつけてベルトを獲りにいく。
文=村上謙三久
放送情報
ワールドプロレスリングLIVE2019 WRESTLE KINGDOM 13 in 東京ドーム
放送日時:2019年1月4日(金)17:00~
チャンネル:テレ朝チャンネル2 ニュース・情報・スポーツ
※試合終了まで生中継。
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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