19世紀から続く長い歴史を持つ伝統の「ISU欧州フィギュアスケート選手権」、アメリカ№1選手を決める「全米フィギュアスケート選手権」。注目の2大会について、プロフィギュアスケーターの無良崇人が見どころなどを語ってくれた。
欧州選手権の男子は、この大会6連覇中で、平昌五輪銅メダルのハビエル・フェルナンデス(スペイン)が今大会を最後に現役引退することを発表し注目が集まっていますね。
「フェルナンデス選手は4回転ジャンプの精度も高く、優勝候補の筆頭。ブライアン・オーサーコーチのもと、羽生結弦選手と刺激し合ってきたフェルナンデス選手が大会7連覇で有終の美を飾れるのか注目です。また、31歳のセルゲイ・ヴォロノフ選手(ロシア)らベテランの円熟の演技や、19歳のドミトリー・アリエフ選手(ロシア)ら若手の勢いのある演技も見られ、おもしろい大会になると思います」
一方、欧州選手権の女子は、ロシア勢が圧倒的な強さを誇っていますが、やはり中心は平昌五輪金メダルのアリーナ・ザギトワですか?
「ザギトワ選手は平昌五輪後、急速に身長が伸びています。身長が急に伸びると骨の周囲の筋肉がついていかなくてジャンプが乱れる選手が多いのですが、ザギトワ選手は変わらずジャンプが安定していることがすごい。16歳とは思えない大人びた表現力も素晴らしいですし、演技に華がありますね。そして2015年の欧州選手権と世界選手権を制したエリザヴェータ・トゥクタミシェワ選手にも注目です。若い選手が次々に登場してくるロシア勢にあって、一時調子を落としていたのに今シーズン復活してきました。トリプルアクセルを成功させられるかがポイントですね」
全米選手権男子の優勝争いは、大会3連覇を狙うネイサン・チェンが中心になってくるのでしょうか?
「チェン選手は多種類の4回転ジャンプを習得している数少ない選手です。元々バレエや体操もやっていたので体の芯がぶれずにジャンプを跳ぶことができ、今シーズンはクオリティーの高い、加点のもらいやすいジャンプを見せています。ミスを少なくできれば、優勝の本命は動かないでしょう。また、4回転ジャンプがあまり得意ではないジェイソン・ブラウン選手が、トリプルアクセルをしっかり決めて演技の完成度をあげていけるのかにも注目ですね」
全米選手権の女子は近年、毎年優勝者が変わる混戦模様ですが、今大会の注目選手は?
「2018年の全米選手権を制したブレイディ・テネル選手が今シーズンも好調です。彼女は何かが突出してすごいのではなく、スケーティング、スピン、ジャンプなど全体のバランスがよく整っています。あとは演技の安定感を増すことが重要ですね。また、2014年と2016年の全米女王で、今季競技復帰したグレイシー・ゴールド選手が全盛期の輝きを取り戻せるのかにも注目しています」
そして、3月には日本(さいたまスーパーアリーナ)で世界選手権が開催されます。
「日本勢は羽生結弦選手の怪我が心配ですが、女子の紀平梨花選手がグランプリファイナルで優勝するなど、若い選手が台頭してきています。欧州選手権、全米選手権は、日本選手のライバルとなる選手たちがたくさん登場しますので、ぜひ見てください」
※インタビュー実施:12月上旬
Profile
無良崇人(むらたかひと) 1991年千葉県生まれ。グランプリシリーズ優勝2回、2014年四大陸選手権優勝などの実績を残し、2018年3月に現役を引退。現在はプロフィギュアスケーターとして活躍中。
文=エンターバンク
放送情報
ISU欧州フィギュアスケート選手権2019
放送日時:2019年1月23日(水) 17:00~ほか
全米フィギュアスケート選手権2019
放送日時:2019年1月25日(金) 9:45~ほか
チャンネル:J SPORTS 4
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