野中生萌野口啓代ら女子クライマーに注目!東京五輪新正式種目の熾烈な代表争いの行方は?

野中生萌選手
野中生萌選手

東京五輪から正式種目として採用され、日本でも注目度を一気に高めているスポーツクライミング。日本勢の選手は世界でトップクラスの実力を持つこの競技だが、8月10日(土)から21日(水)に東京・八王子で開催となる「IFSC クライミング 世界選手権」の各種目(ボルダリング、リード、スピード、コンバインド)決勝の様子がJ SPORTSにて生中継される。

体一つで高くそびえ立つ壁を登るスポーツクライミングは、3つの異なる種目で競われる。高さ15mの壁を2人の選手が同時に登り、その速さを競い合う"スピード"。5m以下の壁に設定された複数のコース(=課題)を、制限時間内により少ないトライ(=アテンプト)回数で、いくつ完登することができるかを競う"ボルダリング"。そして、制限時間内に高さ12m以上の壁をどこまで高く登れるか(=獲得高度)を競い、落下したらその時点で終了という"リード"だ。

「IFSC クライミング 世界選手権」

ひとまとめにクライミングと言っても、それぞれ異なるテクニックや身体能力が必要とされ、種目ごとに強豪国が違い、選手も種目で得手不得手が分かれるもの。オリンピックでは、これらの3つの複合(コンバインド)したもので結果を争っていく。日本は身体能力だけでなく、どのルートで登っていくのかという戦術が不可欠となるボルダリングが世界トップレベル。持久力を問われるリードも得意で、またスピードでもこのところ日本記録更新が続出しており、オリンピックでもメダルの可能性が大いにある。

現在、東京五輪に向けて出場権をかけた戦いが繰り広げられている。そもそも五輪には世界で男女各20名に出場権が与えられ、日本は開催国枠としてすでに男女ともに1名ずつ枠が約束されている。各国・地域から男女それぞれ最大2名までが出場できるため、もう1枠も結果次第では獲得できる状況だ。

日本勢でも特に女子は群雄割拠の状態。特に有力なのが名実ともに国内トップのクライマー・野中生萌だろう。9歳でクライミングと出会い、2008年JOCジュニアオリンピックカップでのリード種目2位準優勝、これを皮切りに国内大会で高い成績を残し、2013年には15歳でリードのワールドカップ日本代表に初選出された。翌年からボルダリングに転向すると、その年のアジア選手権をいきなり制覇。2015シーズンはアジア選手権連覇を筆頭に、参加したワールドカップ大会ですべてトップ10入りを果たすなど安定した強さを発揮。昨年はボルダリングでのワールドカップ年間ランキング女子1位にも輝いている。

クラシックバレエや器械体操で培った柔軟性をベースに、日本人離れした筋肉を活かしたダイナミックなクライミングを特徴とする彼女は、そのパワーでスピード種目でも成長中だ。今年に入っても第1回スピード・ジャパンカップで優勝し、第2回コンバインド・ジャパンカップを制覇するなど、3種目ともに隙がない選手と言えるだろう。

野口啓代選手

15年以上にわたり日本のクライミング界を牽引し、身長165cmという恵まれたリーチを活かしたしなやかなクライミングで"女王"とも称されるのが野口啓代。彼女もボルダリング種目を得意としており、ボルダリングジャパンカップでは1回大会から9連覇を達成。世界でもワールドカップの年間ランキングを幾度となく登場している強者だ。リードでもトップクラスの実力を持ち、今年のリードジャパンカップを制している。昨年のIFSCクライミング 世界選手権のコンバインドの順位では5位の野中を上回る4位に入賞、第1回コンバインド・ジャパンカップでは初の国内王者となるなど、世界きっての実力者とも言えるだろう。

また、2017年に史上最年少の14歳という若さでボルダリングジャパンカップを制し、彗星の如く現れたのが新鋭・伊藤ふたば。彼女は、柔軟性と重心の移動を武器、そして17歳とは思えない冷静さでメキメキと成長している有望株だ。2018年にはアジア選手権をボルダリングで制し、今年のボルダリングジャパンカップでも、野中、野口に次ぐ3位にランクイン。成長著しい彼女が、オリンピックまでにどこまで力を付けていくのかも注目だ。

伊藤ふたば選手

今回生中継される「IFSC クライミング 世界選手権」は、東京五輪の出場権を賭けた最初の大会であり、世界トップクラスのクライマーたちが集結する大会。上位7名に進出すれば五輪出場権が与えられ、仮に日本選手2名がそこに入れば代表決定となるため、熾烈な戦いが繰り広げられることは必至。世界トップレベルの力を持つ野中、野口、伊藤の3つ巴の戦いの行方をぜひ見逃さないでほしい。

文=HOMINIS編集部

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放送情報

IFSC クライミング 世界選手権 2019 各種目(ボルダリング、リード、スピード、コンバインド)決勝 生中継
放送日時:2019年8月13日(火)16:00~ほか
チャンネル:J SPORTS 2、J SPORTS 3、J SPORTS 4
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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