昨シーズンは、2018年の2位から一気に最下位転落という悔しい結果に終わった東京ヤクルトスワローズ。フロントに復帰した小川淳司前監督に代わり、2020年は高津臣吾新監督のもとで新たな船出となった。
不振の要因ともなった投手陣のテコ入れとして、米球界からマット・クック(前・ダイヤモンドバックス3A)、ガブリエル・イノーア(前・オリオールズ)の両投手を獲得。国内移籍でも今野龍太(前・東北楽天)、長谷川宙輝(前・福岡ソフトバンク)といった若手投手を獲得するなど、積極的な補強を行っている。
■ゴールデンルーキー・奥川と実績十分の大卒トリオ
そんな中、大きな期待を寄せられているのが、石川・星稜高校からドラフト1位で入団した奥川恭伸だ。158㎞/hの快速球に加え、スライダーやフォークなどキレのある変化球と抜群の制球が魅力。夏の甲子園で準優勝、高校2年で侍ジャパンU-18代表入りして国際試合でも活躍するなど、高校生離れした完成度の高さで海外メディアにも注目された好投手だ。
右肘の炎症が発覚し、キャンプは2軍スタートとなったが回復は順調で、今季の1軍デビューの可能性も高まっている。投手出身の高津監督がそんな大物ルーキーをどう育て上げるのか、大いに注目だ。
もっとも、期待のルーキーは奥川だけじゃない。日体大からドラフト2位で入団した吉田大喜は、150㎞/h超のスピードと質の高い変化球を駆使し、大学日本代表でも活躍。先発でもリリーフでも結果を残している。さらに、東京新大学リーグで2季連続リーグMVPに輝いた杉山晃基(前・創価大)、関西六大学リーグで最優秀選手&最優秀投手をW受賞した大西広樹(前・大商大)と、大学時代の実績が目立つ新人投手が加入。この大卒トリオの中で誰が即戦力となるか、チーム内の競争も激しくなりそうだ。
■野手陣はバレンティン移籍の穴をどう埋めるか?
野手陣に目を移せば、今オフで最大の話題を呼んだのがメジャーでの実績が十分なアルシデス・エスコバー(前・ホワイトソックス3A)の獲得だろう。MLB通算1367安打を放ち、シュアな打撃と鉄壁の守備力を誇る遊撃手。これまでレギュラーを固定できなかった印象のある遊撃のポジションだけに、エスコバーの加入はチームにとって好材料だ。
昨年36本塁打を記録し、大きな飛躍を果たした村上宗隆や"ミスター・トリプルスリー"山田哲人といったレギュラー陣の発奮も期待される。また、課題点のひとつとされた捕手には、元日本代表の嶋基宏(前・東北楽天)という頼もしい仲間も加わった。
やや心配なのは、長年チームの主軸として大活躍したウラジミール・バレンティン(現・福岡ソフトバンク)が抜けた穴。圧倒的な長打力を誇り、打線の要として対戦投手に脅威を与えてきた彼の退団は正直痛い。それでも、ベテランの青木宣親や坂口智隆を中心に、雄平、上田剛史、塩見泰隆、中山翔太といった外野陣の層は決して薄くない。特に高津監督が打線のキーマンに揚げている坂口がトップに座れば、打線が安定して昨年以上の破壊力を発揮してくれるはずだ。
■野村前監督の申し子、高津監督の采配に注目!
キャンプでは村上が下半身のコンディション不良を訴えるなど誤算もあったが、高津監督はチーム状態に手応えを感じている様子だ。2月11日には、高津監督の恩師でもあり、球団の功労者である野村克也前監督の訃報もあったが、かつて野村監督のID野球の申し子で、クローザーとして日本一に貢献した高津監督だけに、恩師の墓前にも良い報告をしたいだろう。
3月20日(金)のホーム開幕戦を皮切りに、フジテレビONEでは東京ヤクルトスワローズ主催試合が試合開始10分前から試合終了まで完全生中継される。新生スワローズのカギを握る"新監督"と"新戦力"――まずはその出足を注視しながら、2020シーズンの行方を見守っていきたい。
文=渡辺敏樹(エディターズ・キャンプ)
放送情報
SWALLOWS BASEBALL L!VE2020
放送日時:2020年3月20日(金)12:30~
チャンネル:フジテレビONE スポーツ・バラエティ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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