異例の6月19日開幕から熾烈な戦いが続いているペナントレース。今季はホームランが多く、派手な打ち合いの打撃戦が目立っている印象だが、セ・リーグトップの打率.367(7月31日現在)を誇っているのが、広島東洋カープの堂林翔太だ。
■改造した打撃フォームで"確実性"を手に入れた堂林翔太
堂林は2009年にドラフト2位で入団。中京大中京で全国制覇を果たし、甲子園の星として将来を嘱望された大器は、プロ3年目に全試合出場を果たして以降はなかなか芽が出ず、レギュラーに定着することもできずに出場機会も減少。2019年はわずか28試合の出場に留まっていた。
さすがに本人も危機感を持っていたのか、シーズンオフの自主トレには3年下の後輩である鈴木誠也に"弟子入り"。鈴木から打席で頭が突っ込む癖を指摘されてフォームを修正、これが転機となった。キャンプでは下半身主導の打撃フォームへの改造に取り組み、従来のフォームより柔軟性が出るようになった。
開幕スタメンを勝ち取ると、フォーム改造の成果で持ち味の右中間へ伸びる打球が増えた。さらに相乗効果で選球眼も向上。以前よりじっくり球を見極められるようになって確実性が増している。
6月28日の中日戦では130mバックスクリーン弾も放った堂林。7月8日のDeNA戦では2対3と1点ビハインドで迎えた8回、パットンからまたもバックスクリーンに飛び込む3号逆転満塁本塁打を放って勝利をたぐり寄せている。また、7月11日の中日戦では6打数4安打2打点と大活躍し、今季2度目の4安打をマークした。
さらに、7月16日の巨人戦で4号2ランを打つと、7月17日のヤクルト戦はプロ初となる3番に座り、この試合でも4安打を放ってチームの連敗をストップ。観客を入れての本拠地初勝利に貢献した。この試合では、"師匠"の鈴木誠也と3・4番コンビを組んで共に活躍。ここまでを振り返っても、堂林&鈴木の師弟コンビがカープ打線の要となっていることが分かる。
■勝負強さ光る鈴木誠也、風格を漂わせる真の4番打者へ
その鈴木は、もはや「打って当たり前」の風格を漂わせる真の4番打者になった。今季は、むしろ堂林の活躍に隠れがちなのだが、打率.352、9本塁打、27打点の好成績で、特に得点圏打率.419(7月31日現在)は堂林を上回る驚異的な数字だ。
今年のカープは開幕から中継ぎ〜抑えの"勝ちパターン"がなかなか固まらない。また、先発もエース・大瀬良大地を欠くなど投手陣に問題が多く、チームは浮上の糸口を掴めていない。堂林と鈴木を中心とした強力打線がこれまで以上にけん引し、"打ち勝つ"野球が求められるかもしれない。
カープの主催試合は「J SPORTS STADIUM2020」でプレーボールからゲームセットまで生中継している。8月7日(金)からの阪神戦は、絶好調の堂林に加えて、ここまで阪神戦の打率5割の鈴木のバットに注目してほしい。
文=渡辺敏樹(エディターズ・キャンプ)
放送情報
J SPORTS STADIUM2020
「広島 vs. 阪神 (08/07)」(MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島)
放送日時:2020年8月7日(金)17:55~
放送チャンネル:J SPORTS 1
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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