スポーツライター・小関順二が語る、非常事態のプロ野球ドラフト会議

新型コロナウイルスの影響で、春夏の甲子園をはじめ、大学野球選手権や社会人野球日本選手権などの大きな大会が中止となったアマチュア球界。プロ野球のドラフト会議が10月26日(月)に開催されるが、今年はコロナウイルスの影響で異例の事態に。まずは小関順二さんにアマチュア球界の状況を聞いた。

「スカウトも行動が制限されているので、自身の知識や去年まで見ていたもので判断するしかない状況です。練習試合などは行われていますが、選手は実戦を通して成長するもの。試合数がこなせていない現状を考えると、この世代はかなりのハンディを背負っているのではないでしょうか。今はスカウトだけでなく、選手にとっても非常につらい環境。何より、判断する材料が少ないため、全体的な指名人数も落ちると思います」

今年のドラフト会議の傾向を語った小関順二

異例の状況を受け、各球団の指名戦略も変わってくるという。

「プロは即戦力を求める傾向が強いんです。そのため試合ができていない今年は、即戦力度はかなり落ちると判断し、3、4年先を見据えた指名に舵を切る球団が増えると予想しています。ですので、高校生に指名が集まると思いますが、甲子園予選や本選などの実戦経験が少ないため、彼らも自分の力を把握するのが難しい。それにより、大学や社会人へ行った方がいいと判断する選手が上位候補に多く見られます。しかし、最近の高校生は全体的にレベルの高い選手が増えてきています。ただ打つだけでは評価されません。それを選手も分かっていて、ちゃんと守備や走塁も意識して練習してきているのが大きいですね」

また、投手中心の指名傾向があると小関さんは予想する。

「野手は特に経験がものを言うポジションなので、実戦の少ない環境では力を発揮しづらい。そのため、指名は投手中心になりそうです。中でも早稲田大学の早川隆久や、中京大中京高校の高橋宏斗が人気を集めそうです。早川はフォームが良く、球も速くて変化球もキレる。打者では、元阪神の関本賢太郎を父に持つ、履正社高校の関本勇輔捕手に注目しています」

小関さんはスカイAのドラフト中継に今年も出演予定だ。

「私たち解説者が、こういった状況下でもどれだけ選手たちのことを勉強してきているか、その成果を見るいい機会になると思います(笑)。ぜひ、中継も楽しみにしていてください」

こせき・じゅんじ●'52年生まれ、神奈川県出身。プロ野球のドラフト戦略の重要性を説き、野球メディアに"ドラフト"というカテゴリーを確立。スカイAのドラフト中継の解説を'99年以来務める。

取材・文=宮澤祐介

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放送情報

第1回プロ野球 仮想ドラフト会議
放送日時:2020年10月21日(水)23:00~
2020プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD[生中継]
放送日時:2020年10月26日(月)16:30~
チャンネル:スカイA
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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