世界中の自転車ロードレーサーが憧れる世界最高峰の舞台、ツール・ド・フランス。6月26日(土)のスタートから7月18日(日)のゴールまで、全21ステージに及ぶ熱走は、チームプレゼンテーションも含め、今年もJ SPORTSで完全生中継される。そんなツール・ド・フランスに、日本人最多の過去7回出場しているのが新城幸也だ。現在、プロチームのバーレーン・ヴィクトリアスに所属している彼が、ツール・ド・フランスの魅力について語った。
――ツール・ド・フランスは、ジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャと並ぶ、世界三大自転車ロードレース"グランツール"の一つですが、その価値は特別なものなのでしょうか?
「ツール・ド・フランスは、全てがハイレベルで別格ですね。ジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャは、グランツールを体験させようと、若い選手を出場させるチームもありますが、ツール・ド・フランスは、コンディションを100%合わせた選手しか出場できません。スタートから全力で、3週間走り切らなければならないんです。大会が始まるずっと前から、レースの大まかな流れをイメージし、コースを試走するなど、準備をしてきます。さまざまなストレスにさらされながら3週間を走り切り、ゴールのシャンゼリゼに入ってきた時は感動ですね。オリンピック、サッカーのワールドカップと並ぶ世界三大スポーツイベントに挙げられることも多いですから、やはりツール・ド・フランスの大きさは計り知れません」
――今年のコースは、ブルターニュ地方のブレストをスタートし、7月7日(水)の第11ステージでは"プロヴァンスの巨人"と呼ばれる魔の山、モン・ヴァントゥを2回登る過酷なコースが待ち受けています。
「ブルターニュは、細かいアップダウンが常にあってきついですね。海沿いで天候が変わりやすく、1日で晴れ、雨、強風、全てを体験できます。道路も狭くなったり、広くなったりで、急な上り坂もよく現れます。まさに何でもありのブルターニュは、みんな足を使わされる、選手泣かせのコースですね。モン・ヴァントゥは、山の中盤あたりは森があるので風から守られているんですけど、麓と山頂は周囲が開けているので、風が吹くともろに影響を受けるのできついです。山岳コースは、誰がどこで仕掛けるか、どうレースが動くのか注目ですね」
――選手選考は未定だと思いますが、新城さんが今回のツール・ド・フランスに出場するとしたら、どんな走りになりそうですか?
「チームのエースのために働き、アシストするのが僕の役目です。10人以上の選手が逃げた時は、付いていかなければならない場合もありますが、基本的には集団に待機し、エースのサポートに徹すると思います。自分のアシストが実って、チームのエースが表彰台に上がれたら最高ですね」
――ツール・ド・フランス直後の7月24日(土)には、東京オリンピックのレースが行われる予定です。日本代表として出場する母国でのオリンピックでは、どんな走りを見せたいですか?
「僕は18歳で日本を離れ、ヨーロッパを中心にレース活動をし、プロになりました。日本で本格的な国際レースを走ることはほとんどありませんでしたから、母国で開催されるオリンピックには思い入れがありますね。いつもはチームのエースのアシストとして走りますが、オリンピックは自分のために走れます。僕は世界のトップ50に入っているかどうかくらいの選手だと思いますけど、オリンピックは1日だけのレースなので、何が起きるか分かりません。自分の持っている力を100%発揮し、メダル獲得を目指して頑張ります」
――あまり詳しくない初心者も含め、ロードレースファンの方へ向けて、ツール・ド・フランスの魅力について、メッセージをお願いします。
「ツール・ド・フランスは、選手もファンも誰もが待っているビッグイベントです。選手個人、そしてチームと、さまざまなストーリーが3週間にわたって繰り広げられ、フランス各地のきれいな景色も見られる、まさに連続ドラマです。今はコロナ禍で難しいと思いますが、通常なら沿道を大観衆が埋め尽くし、熱狂の渦が巻き起こります。各チームが半年以上をかけて準備してきたドラマの熱量を、ぜひ感じてもらいたいですね」
文=田口裕(エンターバンク)
放送情報
Cycle*2021 ツール・ド・フランス チームプレゼンテーション
放送日時:2021年6月25日(金)1:30~ほか
チャンネル:J SPORTS 4ほか
Cycle*2021 ツール・ド・フランス
放送日時:2021年6月26日(土)18:45~ほか
チャンネル:J SPORTS 4
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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