今シーズンのF1は、7ケ月という超過密スケジュールに加えて、レギュレーション(ルール)も改定されたことで、今までとは大きく異なるマシンで戦うことになっている。何が起こるか分からない今シーズンの見どころを、長年F1を追い続けてきた川井一仁氏に伺った。
■走らせ方や戦い方が今までとは違うものに
世界最高峰のモータースポーツとして認知されているF1に、世界中の人たちが熱い視線を送る。過去に類を見ない大きなレギュレーション(ルール)変更が今年から実施されたからだ。
1980年代からF1を取材し、ピットリポーターや解説者として日本へ伝えてきた川井一仁さんは、今年の大変革をこう括る。
「レース中に後続車が付いてきやすい、グラウンドエフェクト(マシンの底と地面との間に流れる空気を利用して下向きの力を生み出す)カーというボディー構造になったこと。タイヤのホイールが13インチから18インチになったこと。それらはレース展開をより面白くするかもしれませんが、現時点ではどういう展開になるかは読めません。エキサイティングになる面はあるでしょうが、旧来のファンは戸惑う部分だってあるのかもしれません」
大きなルール変更に伴って誰もが同じスタートを切るのだという。過去の強豪チームやトップドライバーとて、一瞬たりとも油断すればそのポジションを死守することはできない。
「予定調和ではないことは事実です。レース中の抜き方や、縁石(=コーナーの内・外側に設けられた走らせ方や戦い方が今までとは違うものに傾斜)を乗り越えていく走行ライン、そしてピット作戦やタイヤの使い方など、全てが昨年までとは違うものになるはず。その走らせ方をいち早く体得したチームやドライバーが、まずは最前線に打って出るのだと思います」
とはいえ強豪は盤石であり、ルールが変わっても強い存在であることも事実だという。
「シーズン前半戦には下克上の戦いがないとは言えません。とはいえ、テスト走行を見ている限り、強豪はやっぱり速いし、安定しているという印象があります。波瀾万丈な前半戦を見ながら、中盤戦以降に安定してくるであろう強豪チームを見るのも面白いですね」
強豪チームならではの強さや、トップドライバーらしい"速さ"は健在だ。しかし、ルールが変わった今年は思わぬ番狂わせが起こらないとも限らない。しかも7ヶ月間という超過密スケジュールで走り抜く。体力や精神力だって必要とされる。
「昨年、思うような結果を残せなかったドライバーに期待しています。時にミラクルが起きるのがF1の魅力ですから」
かわい・かずひと●1988年からF1テレビ中継のピットリポーターとして活躍。その後、解説者やキャスター、雑誌連載などでF1を日本に伝えてきた。2018年にはF1パドック殿堂の第1回表彰者に日本人で唯一選ばれている。
取材・文=中三川大地
※本インタビューは3月上旬に実施したものとなります。
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