2017年、日本一の称号を2年ぶりに奪還した、福岡ソフトバンクホークス。レギュラーシーズンでは94勝という、プロ野球史上5位の記録をあげてパ・リーグを制覇。クライマックスシリーズ(CS)では今期終盤まで優勝争いを繰り広げた東北楽天ゴールデンイーグルスを、そして日本シリーズではセ・リーグ3位からCSを勝ち上がってきた横浜DeNAベイスターズをそれぞれ4勝2敗で下し、今年のプロ野球を制した。
最高の結果を残したこの一年、その立役者に該当する選手は多い。シーズンを通してホークス打線を牽引した柳田悠岐、移籍一年目にして本塁打と打点の二冠に輝いたアルフレド・デスパイネ、そしてプロ野球記録となるシーズン54セーブを挙げたデニス・サファテ。どの選手も甲乙つけがたい活躍ぶりだった。ただ、立役者と呼ぶべき選手がもう一人いる。それはことし日本球界へ6年ぶりに復帰を果たした、川﨑宗則だ。
チームに福をもたらした川﨑の存在
開幕直後は苦戦続きだったホークス。4月28日に川﨑が復帰後初めて一軍に合流した段階での成績は13勝11敗で4位。チーム状況に比例するように、ベンチからは日に日に活気が失われていた。当時、優勝どころかAクラス入りすら危ういと思ったファンは少なからずいるだろう。
この空気を変えたのが川﨑だった。練習中に行うコミカルなダンスや、試合後のロッカールームでのDJプレイなどを通してチームのムードを作っていった。また、開幕から不振が続いていた松田宣浩に「呪いを解いてやる」といってウィスキーの匂いを嗅がせたり、若手の上林誠知に「イチロー選手になれ」と毎打席声をかけたり、即席でデスパイネの通訳を買って出るなど個々人にも積極的に働きかけた。
するとチームの成績は好転。合流から1ヶ月後には30勝19敗で貯金を9個も増やし、その後先述したとおりの成績を残すことになる。中心選手の柳田が「やっぱりムネさん(川﨑)が帰って来たのがデカいですよね」と語るほどの影響力は、チームにとっての"招き猫"と呼べるだろう。
海の向こうでも通用するムードメイカー
実は、川﨑がベンチで"招き猫"となった例は過去にも存在する。それは、活躍の場をメジャーリーグ(MLB)に移したときのことだ。
2015年、当時トロント・ブルージェイズに所属していた川﨑はメジャーとマイナーを行き来しながらも、チームの士気を高める"モチベータ―"として常にベンチを盛り上げた。するとチームはこの年、1993年以来の地区優勝を達成。川﨑の存在は地元メディアに「ブルージェイズが暗かった時もダッグアウトに命を吹き込んでくれた」と称えられた。
所属チームがシカゴ・カブスに移った翌2016年も川﨑の影響力は健在で、ポストシーズンの出場選手枠から外れてもムードメーカーとしてチームに帯同するほどだった。その後カブスが71年ぶりのリーグ優勝、そして108年ぶりの世界一を果たした。
グラウンドでの活躍にも期待
海外での2年と合わせて、3年連続でチームに福をもたらした川﨑。今期の成績は打率.241、本塁打0本、打点4と振るわなかったが、数字でははかれないものをチームに与えてくれた。
ただ、現役選手である以上、グラウンドでの活躍ができなかったのは本人も悔しいところだろう。チームは日本一に輝いたが、川﨑本人は7月24日以降一軍昇格の機会は無かった。また、MLBの公式サイトでも「悲しいことといえば、ムネノリ・カワサキの姿がこの大一番で見られなかったことだ」と日本シリーズでの不在を嘆く報道がされている。
来シーズンはベンチの中だけでなく、グラウンド上でも"招き猫"となれるような活躍を、シーズン通して見せてくれることを日米のファンは願っている。そんな川﨑の姿にも注目しつつ、優勝という栄冠を勝ち取った今シーズンのホークスの試合を振り返ってみてはどうだろうか?
Writer:柴田雅人
※この記事はヨムミル!ONLINEの転載になります。
放送情報
2017 HAWKS BASEBALL PARK プロ野球 ホークス ホーム勝利試合 全戦放送! 福岡ソフトバンクホークス 対 阪神タイガース ※6/11開催試合 [初]
放送日時:2017年12月1日(金)22:00~
チャンネル:FOXスポーツ&エンターテイメント
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