【後編】鈴木誠也にそっくりな強打者&西川龍馬坂倉将吾を彷彿とさせるセンスの塊。カープに精通する男・ゴッホ向井ブルーが教える、次代の主軸を担う逸材たち

中学生の頃に練習場でたまたま声をかけた木村拓也の一言に救われ、213勝投手・北別府学のおかげで"カープ芸人"としての今があると言うゴッホ向井ブルー。物心ついた頃からカープを応援し、芸人として忙しい今もマツダスタジアムやファームの本拠地・由宇球場に通って取材を重ねている。生粋のカープファンである向井に、後編では将来が楽しみなファームの"推し"選手について聞いた。

■東出コーチの"秘蔵っ子"

ファームを見る上で、僕には毎年楽しみにしていることがあります。今季から一軍に配置転換になりましたけど、二軍のコーチだった東出輝裕さんに「今年のオススメ選手は誰ですか?」と聞くことです。過去で言えば、一軍で出場機会がなかった林晃汰選手、育成枠だった大盛穂選手を「これから来るから、面白いから見とき」って教えてもらいました。

2021年の春季キャンプで東出さんに「今、誰が面白いですか」って聞いたら、 「今年入ってきた二俣が面白いよ。2、3年後を楽しみにしていて」と言われました。

二俣翔一選手は2020年育成ドラフト1位で磐田東高校から入団して今季2年目。キャッチャーとして入団し、出場機会を求めてサードにコンバートされました。

東出さんが言うには、二俣選手はとにかく運動神経が良くて、体の使い方がめちゃくちゃ上手い。バッティングセンスを見ると、プロに入ってきたときの鈴木誠也選手にそっくりだったそうです。

■目指すは「背番号1」

今年の前半戦には2カ月くらい怪我で実戦から離れていて、パワーを上げることを目的にトレーナーさんと一緒にずっと筋トレをやっていました。夏場からやっと二軍に合流できるようになって、実戦復帰すると早速成果を感じているそうです。

「バットを振ったら、打球の伸びが変わったと自分でもわかるくらい、パワーがつきました」

はっきり言いますけど、2022年オフから育成ラストイヤーとなる3年目の2023年シーズンのどこかで二俣翔一は必ず支配下に入ります。間違いなく言い切れるので、皆さんは支配下に入る前に背番号121のユニフォームを買っておいてください。そうしたら、「俺は育成のときから二俣見よったよ」って自慢できるので(笑)

今は121番ですけど、将来つけたい背番号を聞いたら、「僕は1番が欲しいです」と話していました。たまたま東出さんが「鈴木誠也みたいだね」とたとえましたけど、本人はもともと背番号1に憧れを持っていて、知らないところで先輩の背中を追っていた。3年目の来年に向けて、絶対に活躍してくれる選手だと僕は思っています。

■佐々岡監督も大きな期待

もう1人の注目は、他球団のファンにも名前がちょっと届いている選手だと思います。田村俊介選手。2021年ドラフト4位で名門の愛工大名電(愛知工業大学名電高校)から指名された左打ちの外野手です。

はっきり言います。間違いなく将来、田村選手はカープのクリーンナップを打ちます。

高校時代はピッチャーもやっていて、「僕は投手と野手の二刀流をやりたい」と球団に伝えましたが、いろいろと話し合いをした結果、野手で指名されました。

バッティングスタイルを言うと、西川龍馬選手と坂倉将吾選手を足して2で割った感じです。広角に打ててパワーも持っていて、体の柔らかさもあって低めの変化球を拾える。本当に素晴らしいバッティングセンスです。

カープでは基本的に高卒選手は体を大きくするという目的で、1年目の春季キャンプはファームからスタートします。2022年の二軍キャンプには高卒選手が数人いるなか、田村選手の練習や姿勢を見て、ファームの首脳陣が「これはすごい。早く一軍に見てもらおう」と佐々岡真司監督に推薦して1日だけ一軍キャンプに合流することになりました。

紅白戦に2打席だけ出場し、初打席でいきなり逆方向に強い打球を飛ばしてレフトフェンス直撃のツーベースヒット。佐々岡監督は「打撃練習を見たときから、この子は違うなって思いました。初球から振っていくところも素晴らしいし、これからすごく楽しみ」と評価していました。

■先輩の助言で「怪我の功名」へ

田村選手は入団のときに「1年目に一軍」という目標を立てましたが、残念ながら怪我でチームから2カ月以上離れた時期がありました。二軍に合流できたのは最近ですが、本人は「怪我の期間に増えた財産があります」とポジティブに捉えていました。

たまたま同じ時期に左打ちの安部友裕選手と西川選手がリハビリ組にいて、バッティングのタイミングの取り方について相談できたと言うんです。

「今までは打席の中でずっしり構えていたところを、安部さんや西川さんにアドバイスをもらってから足踏みをするようにピッチャーのタイミングに合わせてとるようになりました。教えてもらったことを練習した結果、実戦復帰した後も自分の打撃スタイルにめちゃくちゃハマってすごくいい状態なんです」

怪我でリハビリ組に入ったときは周りに置いてかれるという焦りもあったみたいですが、その期間があったから安部選手と西川選手に直接アドバイスをもらえて財産になった。田村選手はそう話していました。

後に振り返ると、「あのとき怪我したから、今の田村がいる。それが現在の活躍につながっている」と言われるような、飛躍のきっかけの一つになったと思います。ただ怪我から治って帰ってくるのではなく、一回りも二回りも成長して戻ってきてくれた。そういう選手が将来的なスターや強打者に育つと思います。

■"推し"選手と交わした約束

今挙げた二人のほかにもカープで好きな選手を挙げればキリがないですけど、そんな中でも僕が特に"推し"ているのが持丸泰輝選手です。2019年育成ドラフト1位で入団したキャッチャーで、今年6月に支配下登録されて一軍デビューも果たしました。

モッチーと呼ばせてもらっていますが、育成選手だった頃にインタビューの流れで約束したことがあります。

「もしこれから支配下登録されて一軍の試合で打席に立つようになったら、そんなに音楽のこだわりがなければ俺が作詞して、知り合いで音楽をつくれる人がいるからモッチーの登場曲を作るよ」

そう提案すると、モッチーは少し間を空けた後に「お願いします!」と言ってくれました。「僕がもし支配下登録を頑張って勝ち取れたら、1打席目でゴッホさんがつくってくれた曲を流しますよ」と。

残念ながら6月22日の阪神戦での初打席には間に合いませんでしたが、その後、曲が完成しました。僕が歌っています。モッチーに渡したらすごく喜んでくれて、「歌詞もいいし、歌もめちゃくちゃいいですね。今は二軍にいますけど、次に一軍で打席に立つときに必ず流しますね」と言ってもらいました。

モッチーはもともとコブクロさんの曲を登場曲に使っていましたが、"代打ゴッホ"というすごいことが起きてしまうかもしれない。それも含めて、モッチーが次にマツダスタジアムで一軍の打席に立つことをすごく楽しみにしています。

向井が若手で特に
向井が若手で特に"推し"ているのは持丸選手。自身作詞・歌唱の入場曲を提供しており、今後その曲が何度もマツダスタジアムで流れることを期待している

写真:本人提供

■人生にカープがなかったら......

僕は今32歳で、カープの若手選手たちはみんな年下で弟のように思って応援しています。同い年の安部ちゃんや田中広輔選手にも頑張ってほしいですね。

よく「カープとはどんな存在ですか」と聞かれるんですけど、僕にとっては「最高の娯楽」です。カープが勝ったら喜んで、負けたら一緒に悔しがる。広島で生まれ育って、当たり前のようにそうすごしてきました。ファームにも多くの思い出があります。

定年退職したお父さんは毎日カープの中継を見て、喜んだり怒ったりして毎日楽しくすごしています。カープのおかげで家族と会話が生まれます。カープがあるから毎日楽しいし、僕はその延長線で仕事をいただいています。

人生にカープがなかったら......という想像さえできないくらいですね。最悪、他の趣味は全部無くなってもいいから、カープだけは絶対になくなってほしくない。もし神様にわがままを言えるなら、カープと酒だけはなくなってほしくないですね。酒を飲みながら見るカープは最高に楽しいので(笑)。

これからも一軍からファームまで、"家族"であるカープを楽しく見ていきます。

インタビュー/構成=中島大輔 企画=This、スカパー!

【インタビュー前編はこちら】

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