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齊藤優希新四段と炭崎俊毅新四段、対照的なプロが誕生した三段リーグの記録を紹介

文化人・その他

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過去、最も長く三段リーグを戦った宮本広志六段⒞囲碁・将棋チャンネル
過去、最も長く三段リーグを戦った宮本広志六段⒞囲碁・将棋チャンネル

将棋のプロ棋士を目指す奨励会で、最後の関門が三段リーグ。6級から昇級昇段を重ね、三段になってもようやく半分と言われるのは、最後の三段リーグが非常に厳しいからだ。現在は40人強の三段がしのぎを削り、半年掛けて18局を戦い上位2人のみがプロである四段になることができる(他に次点2回も昇段の権利を得る)。先に行われた第76回三段リーグではいくつかの記録が生まれた。その紹介とともに、これまでの三段リーグでの記録を振り返っていこう。

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今回昇段する齊藤優希新四段は28歳と10ヶ月。三段リーグは原則として26歳の誕生日を迎える期までに上がれないと退会となるが、勝ち越していれば29歳の誕生日を迎える回まで延長を続けることができる。勝ち越しを続けていたとしても、来期が最後の三段リーグとなるところだった。年齢が現行の規定になってからの奨励会において、最年長でのプロ入り記録だ。
 
炭崎俊毅新四段(※「崎」は正しくは「立さき」)は齋藤とは対照的で16歳の高校一年生。4月からは現役最年少棋士となる。四段二人の年齢差が一回りというのは、もちろん新記録だ。

三段リーグではこれまでの最高成績は16勝2敗だった。小倉久史八段、藤原直哉七段、片上大輔七段、青嶋未来七段、渡辺和史七段、大平武洋六段が達成し、四段になっている。今回の齋藤は新記録となる17勝1敗の成績を出した。17連勝で迎えた最終戦で敗れて全勝はならなかったものの、長らく破られなかった16勝2敗の壁を超えた。なお、三段の人数が少ない時代には11勝7敗での昇段者が出たこともある。

同じ勝数だと前期の成績が上位(順位)の方が優先されるため、最下位付近でスタートとなる新三段の1期抜けは難易度が高い。藤井聡太竜王・名人は13勝5敗で1期抜けを果たして史上最年少棋士となったが、競争相手も敗れるなどの運もあってのことだった。近年では藤井の兄弟子の齊藤裕也四段も達成している。

昇段まで最も長く三段リーグを戦ったのは宮本広志六段。18期目での昇段となったが、実に9年も三段リーグに在籍したことになる。なお、最後は勝ち越し延長を続ける中での昇段で、28歳2ヶ月でのプロ入りは、今回齊藤が破るまでの最年長記録だった。指し分け以下は退会の状況で好成績を残し続け、最後は昇段を勝ち取った二人は、実力だけではなく、精神面での強さも間違いない。

プロ入り時の若さは棋士として活躍するかの目安となる。だが、近年は三段リーグの戦いが激化したこともあり、プロ入りが遅くとも結果を出すことが珍しくない。25歳でプロ入りした西田拓也五段の王将リーグでの活躍も記憶に新しいところだ。今回上がった二人も棋士として、どのような戦いぶりを見せてくれるだろうか。

文=渡部壮大

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放送情報【スカパー!】

タイトル戦 徹底解説#1006 第51期 新人王戦 第1局 池永天志四段 vs 齊藤優希三段
放送日時:3月28日(金)02:00~
放送チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくは
こちら

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