意外なケースも?小山怜央四段らも通った将棋界へのプロ入りへのルートを紹介

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小山怜央四段⒞囲碁・将棋チャンネル
小山怜央四段⒞囲碁・将棋チャンネル

9月に閉幕した第77回三段リーグ。今回は史上初、そして今後ないであろう4人同時昇段の珍事が発生した。今回は通常とは異なる形でのプロ入りを振り返っていこう。

現在の規定において、プロ入りは半年掛けて行われる三段リーグの上位2人に入る必要がある。よって年間4人の四段昇段が基本だ。ただし、各期の3位には次点が付き、次点を2つ得ることでも四段となれる(ただし、順位戦に参加できる2位以内と違い、フリークラスからのスタート)。

そして、この次点は3位以外でも新人王戦の優勝(当時三段の都成竜馬七段の優勝がきっかけ)や、竜王戦ランキング戦での活躍でも獲得できる。紛らわしいので次点ではなく昇段点のように改めた方が良いとは思うが、三段として出場した公式戦で好成績を収めるのも四段への道の1つだ。ただし、棋戦による次点が2つでは現在のところ四段は認められておらず、1つは三段リーグの3位によって獲得する必要がある。

今期は1位の岩村凛太朗三段、2位の生垣寛人三段が昇段を決めた他に、3位の片山史龍三段も2度目の次点で昇段を決めた。そして以前に次点を取ったことのある山下数毅三段が、リーグ進行中に行われていた第38期竜王戦ランキング戦で4組昇級を決めており、こちらも2度目の次点を獲得。これで史上初の三段リーグから4人同時昇段となった。

アマチュアからのプロ入りでは、瀬川晶司六段が銀河戦で大活躍したのをきっかけに、編入試験が創設された。アマチュアとしてプロ公式戦で10勝5敗以上、そして新四段に3勝2敗以上が条件と厳しい道だ。この規定では今泉健司五段、折田翔吾五段、小山怜央四段がプロ入りを果たしている。

また、以前の記事でも触れた三段リーグ編入試験に臨んだ小林智晴アマだが、5勝1敗と合格目前まで迫りながら、最終日は惜しくも2連敗。今泉五段以来、史上二人目の合格とはならなかった。

女流棋士になるには現在のところ研修会で規定のクラスに到達するか、奨励会を退会して女流棋士の道を選ぶかの2つが基本だ。例外としてはアマチュアとして女流棋戦に出場し、ベスト8まで勝ち上がると資格を得ることができる。この規定の一号は礒谷真帆女流初段(マイナビ女子オープンベスト8)で、他に野原未蘭女流二段(倉敷藤花戦ベスト8)がいる。今年度は大城千花アマが倉敷藤花戦で強豪を次々と破りベスト8に進み資格を得たが、女流棋士への道は選ばなかった。他に横村日和アマが女流王将戦でベスト16に進んだものの、ここは福間香奈女流六冠が立ちはだかりくじ運が悪かったと言える。

奨励会や研修会と違い、星が集まれば一気のプロ入りを狙うこともできる。簡単な道ではないが、これからも続く人は出てくることだろう。

文=渡部壮大

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放送情報【スカパー!】

(将棋)ALSOK杯 第75期 王将戦 一次予選 村中秀史七段 vs 小山怜央四段
放送日時:2025年11月2日(日)13:00~
放送チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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