9月1日(日)、谷川浩司九段と藤井聡太七段の初手合が王将リーグ入りを懸けた大一番で実現する。谷川浩司九段と言えば中学生棋士の1人で史上最年少名人のほか、タイトル通算27期を誇る歴史に名を残すトップ棋士。代名詞の「光速の寄せ」は、当時の将棋界の終盤の概念を覆したほどだ。中学生棋士は谷川と藤井の他、加藤一二三九段、羽生善治九段、渡辺明三冠がいるが、藤井は他の3人とは公式戦で対戦しており(いずれも勝利)、谷川との初手合で歴代中学生棋士すべてと対戦したことになる。
谷川はトップ棋士でもあるが、詰将棋作家としての側面も持つ。江戸時代の将棋の名人は詰将棋作品集を上梓するのが習わしだった時期もあるが、実力制名人となってからは谷川が初めて図式集(詰将棋作品集)を出版した。
藤井と谷川と言えば、藤井が奨励会に入る前にイベントで指導対局を受けたそうだ。手合は谷川の二枚落ちで、谷川の玉が寄らない形になったので引き分けを提案したところ、大泣きして拒否したという。藤井の負けず嫌いがうかがえるエピソードだが、そこからわずか9年で対等の立場で盤を挟む機会が来た。
戦型の本命は両者が得意とする角換わりだが、谷川が振り飛車を選択する可能性もあるだろう。現在のタイトルホルダーは渡辺明王将。その挑戦権を争える挑戦者決定リーグに名を連ねるのはわずか7人。豊島将之名人、広瀬章人竜王、久保利明九段、糸谷哲郎八段と4人のトップ棋士が前期残留を決めており、新規にリーグ入りできるのは谷川─藤井戦の勝者の他2名。藤井にとっては初のタイトル戦登場が狙える上に、トップ棋士6人との総当たりリーグは更に強くなる糧となるだろう。
生放送もされる注目の二次予選決勝(谷川浩司九段─藤井聡太七段)は9月1日(日)に関西将棋会館で行われる。将棋ファンならずとも絶対に見逃せない、天才棋士同士の記念すべき初対局だ。
文=渡部壮大
放送情報
(生放送)第69期 大阪王将杯 王将戦 二次予選 谷川浩司九段 VS 藤井聡太七段
放送日時:2019年9月1日(日)9:58~、14:00~
※対局終了まで延長・無料放送
チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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