昭和31年に東京で生まれ、テレビ雑誌の編集部を経て独立した後、コラムニストとして活躍している泉麻人さん。CSチャンネルは'98年のスカパー!開局時からずっと見続けている。
「日本映画専門チャンネルやチャンネルNECOで、DVD化されていない昔のドラマを見るのが楽しいですね。チャンネルNECOでは『山のかなたに』('66年)など石坂洋次郎さんの小説をドラマ化したシリーズを放送しているので、録画して見ています。『山のかなたに』は教師役が津川雅彦さんなのですが、今の俳優に置き換えたら津川さんの役は新田真剣佑くんかなとか、そんな想像をするのも楽しいです(笑)。同じシリーズの『雨の中に消えて』では二枚目スターの舟木一夫さんが流行っていた『おそ松くん』の"シェー!"のポーズをやらされていたり、当時の東京都内の風景が畑ばかりだったりと、いろいろと発見がありますよ。他にも脚本家の松木ひろしさんが好きで、『気まぐれ天使』('76年)など石立鉄男さん主演のコメディーは、何度も見たのに放送されるとつい見てしまいます」
脚本家はドラマを選ぶときの大きなポイント。'70年代から活躍した山田太一、倉本聰の2大巨匠の作品を、CS放送でも改めて見直しているという。
「山田太一さんのドラマでは若かりし頃の森昌子さん、古手川祐子さん、田中裕子さんが共演した『想い出づくり。』('81年)が好きでした。ヒロインのひとりが小田急ロマンスカーの"走る喫茶室"で働いていて、当時の暮らしも垣間見えます。このドラマは裏番組が倉本聰さんの『北の国から』で、ビデオデッキが高価だったあの頃、どちらを選ぶかは大問題。僕は都市の文化を描いている方が好きなので、『想い出づくり。』派でした。でも、倉本さんの東京を舞台にした作品も面白いですよね。やはり、'70年代始めはラジカルなものが出てきた時代で、テレビの作り手たちが何か新しいことをやろうという気概を持っていたと思います」
他にもサッカー番組や、ヒストリーチャンネルで放送される米国・英国制作のドキュメンタリーも好きなんだとか。
「自動車のフォード社の歴史など、淡々と語るようなシンプルなものが好きですね。他にもザッピングしてはマニア受けする旅番組などを見つけています。多くのチャンネルがあるので、趣味を極めている人なら、きっとどこかの局がフィットすると思いますよ。だからこそ、スカパー!にはこれからも、もっとカルトを極めてほしいですね」
■泉麻人さんのお気に入り番組
東京五輪音頭('64年)(歌謡ポップスチャンネル)
「タイトルになった東京五輪音頭を歌う三波春夫が、寿司屋の板前役で出ています。彼がテレビに映る歌手の三波を見て『似ているって言われるんだよ』と言う当時らしい演出も」
デイリーサッカーニュース Foot!( J SPORTS 2)
「カジヒデキさんのテーマ曲やOP映像など、スタート時から洗練されていました。当時はプレミアリーグがスター選手ぞろいで、サッカーファンの僕は夢中で見ていましたね」
いずみ・あさと●'56年生まれ、東京都出身。「テレビ探偵団」('86~'92年TBS系)などに出演。テレビや街歩きをテーマにコラムを執筆。新刊に小説「夏の迷い子」(中央公論新社)がある。
撮影=永田正雄 取材・文=小田慶子
放送情報
デイリーサッカーニュース Foot!
放送日時:2020年8月5日(水)22:00~
チャンネル:J SPORTS 2
戦え!クラッキクロニクル
放送日時:2020年8月13日(木)19:00~
チャンネル:BSスカパー!
東京五輪音頭('64年)
放送日時:2020年8月15日(土)19:00~
チャンネル:歌謡ポップスチャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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