アイドル冬の時代、『SMAP × SMAP』という革命的な番組を世に送り出した鈴木おさむさんがバラエティの歴史を回顧。アイドルとの親和性の高さについて語る。
'70~'80年代初頭、アイドルとバラエティは蜜月関係にあった。鈴木さんは「芸人さん主流のバラエティが増加したのは萩本欽一さん以降」と振り返る。
「当時は歌番組がバラエティ番組の役割を担っており、アイドルが大勢出演。アイドルがアイドルに告白するなど、歌以外の要素も多かった。ドリフターズの登場でコント番組が大ヒットすると、桜田淳子さん、山口百恵さん、郷ひろみさんら当時の大スターがゲスト出演するなど、アイドルがバラエティに出演するのが当然の時代でした」
だが萩本欽一が成功したことで、ビートたけしら芸人がバラエティ番組を席巻する時代へ。
「光GENJI以降、キラキラしたアイドル的役割はとんねるずさん、ダウンタウンさんら芸人の方やロックバンドに取って代わられました。それもあってか、中山美穂さんも小泉今日子さんも早い段階でアイドルから女優へ転身しましたよね。そんな冬の時代に登場したのがSMAPです。僕が構成に参加した『SMAP×SMAP』も、アイドルのバラエティが成功するわけがないと一部で言われていた。ところが蓋を開けたら視聴率20%。この理由は、SMAPのファッション性の高さとフジテレビ制作チームの優秀さにあります」
同番組はフジのバラエティ班のみならず、音楽班まで総動員。最新技術のCGを駆使したほか、初回の歌唱ゲストには中森明菜を起用。キャスティングにもこだわり抜き、大人気番組となる。
「『スマスマ』が"大人"の観賞に耐え得る番組になれたことが大きいのではないか。また男性が同性のSMAPを"格好いい"と憧れるようになったことも同様。ここで男性アイドルのイノベーションが起こったんです」
一方、女性アイドルとなると、オーディション番組やAKB48の「総選挙」などは注目されるものの、冠番組のバラエティは短命に終わることが多い。これは「女性アイドルの番組に『スマスマ』のようなイノベーションが起こっていないことが理由の一つ」と鈴木さんは分析する。
「例えば『ハロプロ! TOKYO散歩 Season2』はバラエティのお手本のような番組。アイドルはこうした番組でバラエティのイロハを学んでいくんです。ここからイノベーションを起こす女性アイドルが育ったら...すてきなことですよね」
取材・文=衣輪晋一
放送情報
ドリフ大爆笑特別総集編
放送日時:2020年11月1日(日)19:15~
チャンネル:ファミリー劇場
レッツゴーヤング
放送日時:2020年11月3日(火)19:00~
チャンネル:歌謡ポップスチャンネル
ハロプロ!TOKYO散歩 Season2
放送日時:2020年11月23日(月)23:30~
チャンネル:BSスカパー!
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