三冠目を狙っていた王将戦挑戦者決定リーグだったが、まさかの開幕から3連敗で挑戦争いから脱落。藤井聡太二冠と言えども、トップ棋士との連戦は簡単にはいかない。
※対局予定棋士との対戦成績は藤井から見た過去の対戦成績
■第70期王将戦挑戦者決定リーグ
10月5日に第70期王将戦挑戦者決定リーグ2回戦で豊島将之竜王と対戦。相掛かりから難解な戦いとなるが、徐々に藤井がリードしていく。時間も残して勝勢となり、ついに対豊島初勝利となるかに思えたが、まさかの着地失敗となってしまう。寄せ損なって混戦となってからも二転三転の激戦だったが、最後に抜け出したのは豊島。激戦の末に今回も初勝利はならなかった。リーグは0勝2敗となり、挑戦争いからは大きく後退。
10月26日に王将リーグ3回戦で永瀬拓矢王座と対戦。永瀬の作戦は意表の四間飛車。藤井は急戦を仕掛けるが、永瀬の手厚い指し回しの前に苦戦を強いられる。終盤はチャンスが訪れた局面もあったが差をつけきれず、激戦の終盤で競り負けてしまった。これで3連敗となり、今期の挑戦の可能性は完全に潰えた。
10月29日に王将リーグ4回戦で佐藤天彦九段と対戦。佐藤の作戦はまさかの先手中飛車。前局の永瀬戦に続き、意表の作戦が続く。藤井は急戦を仕掛け、一進一退の内容が終盤まで続くが、最後は藤井が抜け出して押し切った。リーグ4戦目にして待望の初勝利をあげ、リーグ残留に望みをつないだ。
5回戦の広瀬章人八段戦は11月2日に行われ、藤井が勝利。最終戦の木村一基九段戦は11月20日(金)に行われる。
■第79期順位戦で5連勝、単独首位に
10月21日に第79期順位戦B級2組6回戦で村山慈明七段と対戦。村山の誘導で横歩取りとなり、スローペースで難解な中盤戦が続く。夜戦に入って徐々に藤井がリードを奪い始めると、最後まで手厚い指し回しで押し切って制勝。5連勝と星を伸ばした。他の対局の結果全勝が消え、藤井が単独首位となり、連続昇級にまた一歩近付いた。7回戦は11月11日(水)に北浜健介八段(4勝0敗)と対戦する。
第28期銀河戦決勝トーナメント1回戦の増田康宏六段戦が10月27日に放送。矢倉から苦しい戦いとなったが、終盤のチャンスをとらえて逆転勝ちに成功した。決勝トーナメント2回戦では永瀬拓矢二冠(対局当時)と対戦する。
第70回NHK杯将棋トーナメントは2回戦で木村一基九段(4勝0敗)と対戦。第6期叡王戦の開幕も発表され、藤井は段位別予選からの出場で、八段予選に出場する。初戦は長沼洋八段(初手合)と対戦。隣には杉本昌隆八段がおり、ともに勝つと3度目の師弟戦となる。
第69期王座戦、第14回朝日杯も進行中だが、藤井はいずれもシードのため本戦からの出場となる。また、11月12日(木)にはオンラインで王位就位式が行われる。11月も藤井二冠の活躍から目が離せない。
文=渡部壮大
放送情報
(生放送)第70期 王将戦 挑戦者決定リーグ戦 最終一斉対局
放送日時:2020年11月20日(金) 9:30~、12:30~
※対局終了まで延長放送
チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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