2021年が始まり、中学生棋士としてデビューした藤井聡太二冠も学生生活の終わりが近付いてきた。天敵の豊島将之竜王からも初勝利をあげ、今年はさらなる飛躍が期待できそうだ。
※対局予定棋士との対戦成績は藤井から見た過去の対戦成績
■第14回朝日杯将棋オープン戦で豊島将之竜王に勝利
1月17日に第14回朝日杯将棋オープン戦本戦で大石直嗣七段と対戦。今年も名古屋での公開対局だ。大石意表の先手中飛車から、急戦調の戦いになった。藤井は少しずつリードを広げると、終盤は手堅い指し回しで制勝。
同日午後の2回戦は豊島将之竜王と対戦。過去6戦全敗で藤井にとって最大の壁だ。角換わりから後手の藤井は珍しく早繰り銀を選ぶ。藤井が押し気味の将棋となるが、豊島も勝負手を連発し一時は形勢を逆転される。しかし藤井の勝負手が通り形勢は再逆転。そのまま一気に受けなしへと追い込んだ。
大敵の豊島から待望の初勝利で4年連続の準決勝進出。2月11日(木)に行われる準決勝では渡辺明名人(4勝1敗)と対戦。勝てば同日に決勝を戦う。例年は公開対局で行われていたが、今年はコロナウイルス感染拡大防止のため非公開で行われる予定だ。
■第79期順位戦、第34期竜王戦ランキング戦で白星を重ねる
1月6日に第79期順位戦B級2組9回戦で中村修九段と対戦。雁木模様の相居飛車力戦となり、徐々に藤井が形勢をリードしていく。中村の猛攻を巧みにしのぐと反撃に出て、最後は鮮やかに決めて制勝。無傷の8連勝と星を伸ばし、昇級目前。10回戦は2月9日(火)で窪田義行七段(初手合)と対戦する。自身が残り2戦で1勝するか、競争相手4人のうち2人に黒星がついた時点で昇級が決まる。
1月25日には東京で行われた第33期竜王就位式にランキング戦3組優勝者として出席。藤井はデビューから4年連続でランキング戦優勝を果たしている。
1月29日には第34期竜王戦ランキング戦2組で阿久津主税八段と対戦。阿久津の誘導で力戦模様の横歩取りへ。難解な戦いだったが、じりじりと押し込んでいきリードを広げていく。最後は激辛に仕上げ、快勝となった。2回戦では広瀬章人八段(2勝1敗)と対戦する。
第6期叡王戦は八段予選決勝に進出。予選決勝は広瀬章人八段─糸谷哲郎八段戦の勝者と対戦する。第29期銀河戦、前回優勝の藤井はHブロック最終戦での登場で、放送は今秋の予定。第69期王座戦、第47期棋王戦はいずれもシードのため本戦からの登場となる。
文=渡部壮大
放送情報
第70期 王将戦 挑戦者決定リーグ戦 藤井聡太二冠 vs 木村一基九段
放送日時:2021年2月10日(水) 2:10~
チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
詳しくはこちら