史上最年少でのタイトル二冠(王位・棋聖)に、棋戦優勝も2つ(銀河・朝日杯)、順位戦も昇級と、藤井聡太二冠は大活躍の一年だった。いよいよ本格化して、手の付けられない強さになりつつある。
※対局予定棋士との対戦成績は藤井から見た過去の対戦成績
■順位戦は10連勝で昇級
3月10日に第79期順位戦B級2組最終戦で中村太地七段と対戦。先手の藤井は相掛かりを選択。難解な戦いが続いたが、徐々に藤井が形勢をリード。手数は掛かったものの着実に差を広げ、押し切った。
今期の順位戦は10連勝で昇級。順位戦の連勝を21に伸ばし、初参加からの通算成績も39勝1敗と異次元の強さだ。来期のB級1組でも圧倒的な昇級候補一番手だろう。
3月23日に第34期竜王戦2組ランキング戦で松尾歩八段と対戦。後手番になった松尾の誘導で横歩取りとなる。難解な戦いが続いたが、終盤の入り口で藤井が絶妙手▲4一銀で突き放す。以下は松尾に粘りを許さずあっという間に寄せ切った。
これで5期連続の決勝トーナメント進出と昇級が確定。2組決勝では八代弥七段(1勝0敗)と対戦する。
また、2020年度の将棋大賞が発表され、藤井は最優秀棋士賞、名局賞、名局賞特別賞、升田幸三賞特別賞、勝数1位、勝率1位を獲得。連勝も17まで伸ばし数字そのものはトップだったが、ストップした記録のみが判定されるため年度をまたいで連勝を続けた藤井は対象外となった。
■注目の対局が目白押し
第6期叡王戦は八段予選決勝に進出。予選決勝は広瀬章人八段─糸谷哲郎八段戦の勝者と対戦する。対局は4月9日(金)の予定。
第29期銀河戦、前回優勝の藤井はHブロック最終戦での登場となり、放送は10月中旬の予定。
第71回NHK杯将棋トーナメントの組み合わせも発表。シードの藤井は2回戦で深浦康市九段─都成竜馬七段の勝者と対戦する。
第69期王座戦、第47期棋王戦はいずれもシードのため本戦からの登場。
藤井への挑戦者を決める第92期ヒューリック杯棋聖戦の決勝トーナメント、お~いお茶杯第62期王位戦の挑戦者決定リーグが進行中。棋聖戦は4月下旬、王位戦は5月下旬には挑戦者が決まる見込み。
第4回ABEMAトーナメントの開催が発表。前回に続きドラフト方式で行われ、タイトルホルダーとなった藤井はリーダーでの出場となる。ドラフト会議が放送され、一巡目には同い年で奨励会入会前に対戦経験もある伊藤匠四段を指名。二巡目には服部慎一郎四段を指名したが、こちらは指名被りの結果抽選で敗れる。再指名では高見泰地(※「高」は正しくは「はしご高」)七段を選び、チームが完成した。予選はAブロックに入り、三浦弘行九段(高野智史五段(※「高」は正しくは「はしご高」)、本田奎五段)、稲葉陽八段(久保利明九段、船江恒平六段)のチームと対戦することになった。
文=渡部壮大
放送情報
第70期 王将戦 挑戦者決定リーグ戦 藤井聡太二冠 vs 広瀬章人八段
放送日時:2021年4月10日(土) 20:00~
チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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