藤井聡太王位が防衛を目指す!豊島将之竜王との七番勝負、制するのはどちらか

藤井聡太王位
藤井聡太王位

藤井聡太王位の防衛戦となる、第62期「お~いお茶杯王位戦 七番勝負」の挑戦者は豊島将之竜王に決まった。棋聖戦の渡辺明名人に続き、棋界トップの2人が藤井の持つタイトルへの挑戦に名乗りをあげたことになる。現在の将棋界で複数冠を持つのはこの3人で、頂上決戦と呼ぶにふさわしいカードだ。

藤井にとって豊島は天敵とも言える相手。過去の対戦成績は藤井が1勝6敗と差を付けられている。通算成績が8割を上回る勝率を誇る藤井が、大きく負け越している唯一の棋士だ。

豊島将之竜王

©囲碁・将棋チャンネル

豊島は現在、竜王と叡王の二冠を保持している。王位戦では第59期の七番勝負で初登場し、菅井竜也王位(当時)にフルセットで勝利。しかし翌第60期では木村一基九段にフルセットで敗れ、史上最年長初タイトル を許すことになった。今期の挑戦者決定リーグでは初戦で木村に敗れて黒星スタートとなったものの、そこから4連勝で紅組リーグ優勝。挑戦者決定戦では白組リーグを勝ち抜いてきた羽生善治九段に快勝して、挑戦権を獲得した。

一方の藤井は知っての通り相変わらずの勝ちっぷり。「初タイトルを獲得した棋士は調子を崩す」と言われがちだが、棋戦優勝を2回果たすなど高勝率を続けて防衛戦を迎えた。6月6日に行われた棋聖戦の第1局では、渡辺渾身の研究を跳ね返し、圧倒的な内容で防衛戦の初戦を制している。問題は、ダブルタイトル戦に加えて、順位戦や各種棋戦の重要な対局が続くことによる過密日程だろう。勝ちまくる棋士の宿命ではあるが、体力面や研究時間といった面での負担が大きい。

両者は居飛車党で、過去の対戦は角換わり、相掛かりが中心。その二つと矢倉が七番勝負でも戦われるだろう。両者とも最新形を避けることがなく、指した将棋がそのまま定跡となるかもしれない、プロ棋士からも大注目のシリーズだ。これまでの対戦成績は偏ってこそいるものの、内容的にはいずれも大熱戦で、藤井にも勝機のある局面も多かった。6連敗後、早指しとは言え直近の対局で1勝をあげたこともあり、苦手意識もないだろう。秒読みの白熱したねじり合いが期待される。藤井と豊島のどちらが勝つにせよ、一方的に星が偏るとは考えにくい。

王位戦七番勝負は6月29日(火)、30日(水)に愛知県名古屋市「名古屋能楽堂」にて開幕する。フルセットになれば9月末までもつれ込む長丁場の勝負だ。北は北海道、南は佐賀と全国を転々しての戦いとなる。

また、藤井は豊島の持つ叡王への挑戦権を獲得。王位戦と合わせて真夏の合計十二番勝負を戦うこととなった。渡辺、豊島と棋界の頂点相手に番勝負を制し、将棋界最強の座を確たるものにできるか。藤井にとって試練の夏となるだろう。

文=渡部壮大

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放送情報

藤井銀河決勝戦自戦譜解説 第28期 銀河戦 決勝 藤井聡太二冠 vs 糸谷哲郎八段
放送日時:2021年7月6日(火)18:00~ ほか
チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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