7月6日(火)の「藤井銀河決勝戦自戦譜解説」(囲碁・将棋チャンネル)には藤井聡太二冠が登場。優勝を果たした第28期銀河戦の棋譜を自ら解説する。藤井二冠の強さについて、将棋書籍編集長の島田さんに尋ねた。
■藤井さんの目標は将棋が強くなること
銀河戦で初優勝を飾った藤井聡太二冠。29連勝のデビューから4年、いよいよ本格化しつつある藤井二冠の強さについて、島田さんに尋ねた。
「藤井さんを初めて知ったのは、デビュー直後に行われた『炎の七番勝負』の書籍を担当した時ですね。あの時は相手が強く、1勝できるかどうかと見られていた中で6勝1敗の結果を出して。第1局の終盤戦で▲9七玉というすごい手が出て。注目される舞台で華のある決め手を放ち、スター性を感じました」
藤井二冠の強さは、AIを使っているからと言われることもあるが、それだけではない。
「藤井さんはソフトに触れる前に史上最年少三段の記録を作っていますし、元々強いんですよ。素質があって強かった人がソフトを使ってさらに強くなったというべきですね。対局を重ねるたびに強さが増し、初期の頃と比べて、安定感が出るようになりましたね。前は派手な手が出て逆転勝ちすることもあったのですが、最近は序盤でリードし、相手にまったくチャンスを与えずに押し切る将棋が増えています。今の藤井さんはソフトを使ってどんな形が良いか調べているそうで、序盤から隙がありません」
隙のない藤井二冠の一番の強みを挙げるとすれば、何だろうか。
「読みの量が多く、また正確なところです。将棋は逆転のゲームと言われるように、優勢な側がミスをするとすぐにもつれてしまうのですが、藤井さんはミスが格段に少ないのです。それが相手にチャンスを与えず押し切る将棋につながるわけですね。それらは藤井さんの向上心が原動力になっていると思っています。藤井さんが小さい頃に『名人を超す』と書いた話は有名ですが、普通は『名人になりたい』と思うところです。今でもタイトルを取ることが目標ではなく、あくまで将棋そのものが強くなりたいと言います。前にそのモチベーションがどこから来るのか尋ねたら『将棋は分かれば分かるほど楽しくなるかも......しれない』と答えてくれました」
藤井二冠は今後、どんな棋士になるのか期待も高まる。
「八冠を取れるんじゃないかと思いますね。今回、棋聖戦と王位戦のダブル防衛戦では、渡辺明名人、豊島将之竜王と最強の二人を挑戦者に迎えています。もし両方勝つようなら誰も番勝負で勝てないという雰囲気になると思います」
取材・文=渡部壮大
しまだ・しゅうじ●'78年生まれ。マイナビ出版将棋書籍編集部・編集長を務め、「天才棋士降臨・藤井聡太 炎の七番勝負と連勝記録の衝撃」(マイナビ出版)など多数の将棋書籍の編集を担当する。
放送情報
第28期銀河 藤井聡太の素顔
放送日時:2021年7月3日(土)18:00~
藤井銀河決勝戦自戦譜解説
放送日時:2021年7月6日(火)18:00~
棋聖・藤井聡太に訊く~さらなる高みに向かって~
放送日時:2021年7月19日(月)16:15~
チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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