第29期銀河戦の決勝トーナメントが開幕した。銀河戦はシード、予選通過者がA~Hの8つのブロックに分かれてパラマス式トーナメントを戦い、最多連勝者と最終勝ち残り者が決勝トーナメントに進む。そして決勝トーナメントの初戦は最多連勝者と最終勝ち残り者での組み合わせとなるため、勢いのある若手棋士とトップ棋士の対戦が見られやすいのが特徴だ。
決勝トーナメント進出者の中でも、やはり目を引くのは藤井聡太銀河(三冠)だろう。前期は本戦ブロックで6連勝し、トーナメント中盤での登場ながら最終勝ち残り者に。決勝トーナメントでも勝ち上がり、決勝で糸谷哲郎八段を破って初優勝を飾った。タイトルを取ってトップ棋士の仲間入りを果たした今期からは最終戦での登場となったため、1勝で決勝トーナメントに進出。銀河戦では第10期から現行のシステムになって以来、連覇を達成した棋士はいないが、初の偉業を達成することができるだろうか。
決勝トーナメント進出者の中で最多4度の優勝を誇る渡辺明名人も注目。現在は名人を含む三冠を有し、藤井と将棋界を二分する存在だ。決勝トーナメントの初戦では服部慎一郎四段と対戦し、見事勝ち星をあげた。
豊島将之竜王も本戦ブロックから勝ち上がっている。豊島は前々期の優勝者で、当然ながら優勝候補の一角だろう。初戦では銀河戦で決勝トーナメント常連の増田康宏六段と激突。1回戦で屈指の好カードだ。豊島が優勝した第27期では準決勝で対戦している。
決勝トーナメント進出者で最年長は日本将棋連盟会長でもある佐藤康光九段。銀河戦でも3度の優勝を誇る佐藤だが、初戦で若手実力者の佐々木大地五段と対戦し、佐々木が見事勝ち星をあげた。
同じくベテラン組からは木村一基九段も決勝トーナメントに勝ち進んでいる。史上最年長での初タイトルを獲得するなど40代後半になって円熟味を見せており、ブロック最終戦では前期準優勝の糸谷八段をねじ伏せてきた。
総勢16名による決勝トーナメント。タイトルを持つ実力者が早指しでも力を見せるか、はたまた若手や伏兵が勢いに乗って勝ち上がるか。
文=渡部壮大
放送情報
第29期 銀河戦 決勝トーナメント 1回戦 第4局 木村一基九段 vs 伊藤真吾六段
放送日時:2021年11月11日(木)20:00~
チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
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