音楽ジャーナリスト・柴那典が2022年のニュースターを語る「アーティストとして飛躍していくタイミングで、注目を集めました」
- 文化人・その他
- 2022.02.27
昨年末「NHK紅白歌合戦」に出場したmilet(2回目)、Awesome City Club(初)、中村佳穂(初)。3月にそんな"旬"な3組の番組が放送されるということで、彼らについて音楽ジャーナリストの柴那典さんに教えてもらった。昨年の「NHK紅白歌合戦」には、若い世代にとどまらず支持されるアーティストが多数出演した。その中の1組が、Awesome City Club(オーサムシティクラブ)。映画『花束みたいな恋をした』(2021年)のインスパイアソング「勿忘(わすれな)」が注目を集め、ストリーミング再生回数が累計2億回を記録。
柴那典さんはこう語る。
「知名度を大きく上げたのは『勿忘』ですが、彼らの出自はシティポップ。さらにロック、R&Bなど音楽的素養の広いメンバーが作ってきたポップスのバンドなので、他にもたくさんいい曲があります。男女ボーカルのハーモニーの美しさ、オシャレでスタイリッシュなサウンドと耳なじみのいいメロディーが特徴的。基本的な部分はブレませんが、どんどん進化していくところも彼らの魅力です」
2組目はドラマや映画、アニメの主題歌に起用され、幅広い層に支持されているmilet(ミレイ)。
「タイアップ曲が多く、どこかで彼女の歌を耳にしたという人も多いと思います。ポップスとしてハイクオリティーという印象だと思いますが、一方で、打ち込みとロック的な要素を融合させた作品も。洋楽でいうとテイラー・スウィフトやビリー・アイリッシュら、同時代の女性シンガーソングライターの系譜に近いサウンドセンスも持っています。アルバムを聴くと、音楽性の幅広さとアーティストとしての奥行きを感じられると思います」
中村佳穂は映画「竜とそばかすの姫」(2021年)で主人公の声を演じ、メインテーマ「U」にmillennium parade×Belleとして参加。同曲で「NHK紅白歌合戦」に出場した。
「映画の劇中歌や紅白で存在を知った方も多いと思いますが、元々はユニークかつジャンルレスな音楽性を持ち、以前から蔦谷好位置(つたやこういち)さんなどの音楽関係者がその才能を絶賛していました。矢野顕子さん以来の、鍵盤を自由に弾いて、自由に歌えるシンガーソングライターなので、映画や紅白での活躍は中村佳穂のほんの一面に過ぎません。3月に発売されるアルバム『NIA』で、より自然体で自由な音楽センスが発揮されるオリジナル曲を聴いて、驚いてもらいたいですね。今回の3組は、1曲に終わらず、アーティストとして飛躍していくタイミングで『紅白歌合戦』に出場し、注目を集めました。今後の活躍も楽しみです」
しば・とものり●1976年生まれ。ロッキング・オン社を経てフリーに。著書に「初音ミクはなぜ世界を変えたのか」(太田出版)、「ヒットの崩壊」(講談社現代新書)、「平成のヒット曲」(新潮新書)など。
取材・文=田中隆信
放送情報
Awesome City Club MUSIC VIDEO SPECIAL
放送日時:2022年3月14日(月)0:30~
チャンネル:スペースシャワーTV
milet MUSIC VIDEO SPECIAL
放送日時:2022年3月14日(月)0:00~
チャンネル:スペースシャワーTV
中村佳穂 LIVE & MUSIC VIDEO SPECIAL
放送日時:2022年3月27日(日)23:00~
チャンネル:スペースシャワーTV
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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