将棋界で最も厳しいリーグとも言われている王将戦挑戦者決定リーグ。王位リーグは紅白合わせて12人、名人挑戦権を懸けるA級順位戦は10人入れるのに対し、王将リーグはわずか7人しか入れない狭き門となっている。
前期は藤井聡太竜王が渡辺明王将(当時)に挑戦し、4連勝で奪取している。その藤井でもリーグは3期目で挑戦権を獲得。2期目では陥落するほどの厳しい戦いを強いられた。
今期の第72期ALSOK杯王将戦挑戦者決定リーグも、例年通り強豪棋士がずらりと並んでいる。
前王将の渡辺明名人は王将5期をはじめ、実績、実力ともに十分で挑戦権争いの本命と言えるだろう。藤井相手のタイトル戦では苦しい戦いを強いられているが、それ以外の若手との戦いでは貫録を見せ続けている。
同じくタイトルホルダーの永瀬拓矢王座は2期前の挑戦者。前期は二次予選から出場となった藤井王将に唯一黒星を付けている。どの棋戦でも挑戦権争いに顔を出す実力者で、当然狙うは七番勝負だろう。
レジェンド羽生善治九段も健在。A級から陥落はしたものの、王将リーグでは安定感のある戦いぶりで3期連続勝ち越して残留している。タイトル通算100期を目指す戦い、そして藤井王将とのスーパースター同士のタイトル戦は、将棋ファンなら誰もが期待するところだろう。
前期はリーグ陥落した豊島将之九段だが、二次予選を勝ち上がって即復帰を決めている。昨年竜王を藤井に奪われて無冠に転落したが、今期も王位戦、王座戦と続けて挑戦権を獲得している。王将戦でも過去2回挑戦した実績があり、渡辺、永瀬と並ぶ実力者であることに変わりはない。
糸谷哲郎八段、近藤誠也七段もリーグで残留経験のある実力者だ。
今期の注目は服部慎一郎四段だろう。一次予選からの勝ち上がりで、大橋貴洸六段、斎藤慎太郎八段、本田奎五段などの実力者を連破し、四段ながら初のリーグ入りを決めた。今年度初戦で初タイトル挑戦を懸けた叡王戦の挑戦者決定戦で敗れたものの、それにめげることもなく今期は8割を超える勝率で勝ちまくっている。永瀬王座、羽生九段らとは初手合で、勢いに乗ればリーグの台風の目になるかもしれない。
参加できるのは7人、うち3人が陥落となる厳しい戦いを強いられる王将リーグ。そしてその先で待ち受けるのはタイトル戦で圧倒的な強さを見せている藤井王将。激戦を勝ち抜き、大舞台へ出場を決めるのは誰なのか。9月19日に開幕する。
文=渡部壮大
放送情報
(生放送)第72期 ALSO杯王将戦 挑戦者決定リーグ戦羽生善治九段 vs 服部慎一郎四段
放送日時:2022年9月19日(月)13:00~ほか
チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
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