サンキュータツオが、神谷明日高のり子らレジェンド声優を分析!

「タッチ」「うる星やつら」「シティーハンター」「北斗の拳」「キン肉マン」...など、'80年代はヒット作品が数えきれないほど生まれた、まさにアニメ黄金期。そんな中、声を聞けばそのキャラクターが誰しもの頭に浮かぶほど、声優たちの声に特徴があり、インパクトも強かった。

彼らは同時期に多数の作品に出演。陽気にコメディアンな面を見せてくれたと思いきや、クールでシリアスな役を務めたりと、多種多彩なキャラクターを演じ分ける高い演技力も披露。今回、スカパー!で放送される作品の中から、編集部が往年の名声優を5人ピックアップ。今やレジェンドといわれる声優たちの魅力を、アニメに造詣が深いお笑い芸人・サンキュータツオさんに分析してもらった。

「当時は、少年漫画誌の原作モノや子供向けのアニメ作品が多かったので、声優には分かりやすくて強力なキャラクターが求められる局面が多かったと思います。また、深夜アニメなどが皆無の時代で、土日の朝と平日の夕方や夜 7 時くらいしかアニメの放送がなかったくらいでしたので、特徴のある方が残り、アフレコも特殊技能化していったと考えられます。ただ、レジェンドといわれる方たちは声優としての技術だけではなく、俳優の副業としてやられている方も多かったので、役者としての演技の素養がしっかりしていらっしゃった。だからこそ、台本の解釈力や演出の理解力も早いんです。要するに、お芝居ができて、声にも力がある人こそが、声優のパイオニアとして生き残っていったわけです」

■中尾隆聖

「劇場版「それいけ!アンパンマン 夢猫の国のニャニイ」」

©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV ©やなせたかし/アンパンマン製作委員会 2004

・「それいけ!アンパンマン」('88年〜)  ばいきんまん役
・「ドラゴンボールZ」('89年〜'96年)  フリーザ役
・「タッチ」('85年〜'87年 )  西村勇役

「日本人ならば人生で一度は必ず聞いたことのある声!高音のハスキーボイスで、主人公の近くにいる明るい悪役、さらにはフリーザのように何を考えているか分からないキャラも多いですね。人間以外の役もこなすなど、声優として想像力豊かな声を堪能することができます」

■神谷明

「シティーハンター 愛と宿命のマグナム」

©北条司/NSP・読売テ レビ・サンライズ

・「シティーハンター」('87年〜'88年ほか)  冴羽獠役
・「キン肉マン」('83年〜'86年ほか)  キン肉マン(キン肉スグル)役
・「北斗の拳」('84年〜'87年ほか)  ケンシロウ役
・「うる星やつら」('81年〜'86年)  面堂終太郎役

「冴羽獠のように、二枚目から三枚目に目まぐるしくキャラ変する主人公も演じるイケボのスーパーマン。シリアスな芝居も要求されるケンシロウをこなし、それがフリとなって『うる星やつら』でのギャグ役も映える。グラデーションではなく、キャラの落差を瞬時に表現できるのがスゴイところです」

■古川登志夫

「うる星やつら オンリー・ユー」

©高橋留美子/小学館

・「うる星やつら」('81年〜'86年)  諸星あたる役
・「機動戦士ガンダム」('79年〜'80年)  カイ・シデン役
・「ドラゴンボールZ」('89年〜'96年)  ピッコロ役
・「ONE PIECE」('99年〜)  ポートガス・D・エース 役

「心地よく、軽い高音の持ち主。"軽さ"は聞く人に負担を与えない、いわば神様からの贈り物で、あたるはこの軽さが最大限に生きたキャラです。シリアスな作品では、カイのような最高の脇役にもなります。高音ボイスは非人間キャラとの相性が良く、ピッコロなどもハマり役ですね」

■銀河万丈

「機動戦士ガンダムⅠ」

©創通・サンライズ

・「機動戦士ガンダム」('79年〜'80年)  ギレン・ザビ役
・「北斗の拳」('84年〜'87年ほか)  サウザー役
・「タッチ」('85年〜'87年)  原田正平役
・「おぼっちゃまくん」('89年〜'92年)  御坊亀光役

「TVのナレーションでもおなじみ。低音で落ち着いた声質なので、ギレンなど強力な敵役などが映えます。低音ボイスは言葉数を少なめにした芝居では、キャラの内面の奥行を表現することもあります。ぼそっと発する『タッチ』原田が 好例で、一転してギャグの文脈でも輝きますね」

■日髙のり子

「タッチ」

©あだち充/小学館・東宝・ADK

・「タッチ」('85年〜'87年)  浅倉南役
・映画「となりのトトロ」('88年)  草壁サツキ役
・「らんま1/2」('89年ほか)  天道あかね役
・「犬夜叉」('00年〜'04年ほか)  桔梗役

「透き通った"富士山麓の雪解け水"のような声。『タッチ』ではしっかりした女性を、『となりのトトロ』で は大人になっていく少女を好演。存在するだけで映える透明さと処女性を感じさせ、耳元でささやくような"少女以上大人未満"の声にドキドキします。日髙さんの声は誰もが恋に落ちる魅力があります」

長きにわたり声優界でトップを走って きたレジェンドたち。十人十色の魅力を持つ彼らのパフォーマンスに注目して、改めてアニメを堪能してみてはいかが?

古川登志夫、中尾隆聖が出演の「織田シナモン信長」

©目黒川うな/NSP,織田シナモン信長製作委員会

サンキュータツオ●'76年生まれ。漫才コンビ「米粒写経」として活動しながら、 大学では言語学などの非常勤講師も務める。アニメなどサブカ ルチャーにも造詣が深い。

この記事の全ての画像を見る

放送情報

機動戦士ガンダムⅠ
放送日時:2020年5月2日(土)22:30~
チャンネル:アニマックス

劇場版「それいけ!アンパンマン 夢猫の国のニャニイ」

放送日時:2020年5月6日(水)11:30~
チャンネル:キッズステーション

織田シナモン信長

放送日時:2020年5月8日(金)0:00~
チャンネル:アニマックス

タッチ

放送日時:2020年5月9日(土)7:55~
チャンネル:テレ朝チャンネル2 ニュース・情報・スポーツ

シティーハンター 愛と宿命のマグナム

放送日時:2020年5月17日(日)20:00~
チャンネル:アニマックス

うる星やつら オンリー・ユー

放送日時:2020年5月31日(日)19:00~
チャンネル:アニマックス

※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくはこちら

キャンペーンバナー

関連記事

記事の画像

記事に関するワード