草野仁が競馬の奥深さや新たな魅力を伝える長寿番組

撮影:石井小太郎
撮影:石井小太郎

美しい日本語による穏やか、かつ知的な語り口で視聴者から絶大な信頼を集めるフリーキャスターの草野仁氏が司会を務める番組『草野仁のGate J.プラス』。競馬関係者はもちろん、アスリートから俳優、文化人まで幅広いジャンルからゲストを招き、競馬や馬にまつわる逸話を語るこの番組は、日頃はあまり見られないようなゲストの素顔が垣間見えると人気だ。

放送開始から7年。長寿番組となった秘訣とは?

放送開始から7年目を迎える長寿番組となった理由も、草野氏とゲストとの興味深いトークにあると言えるだろう。草野氏にこれまでの放送を振り返り、番組の魅力について語ってもらった。

「番組には競馬や馬を愛する著名人にご出演いただいていますが、10人いれば10人それぞれの競馬・馬ライフがあるのだなと感心させられます。なかでも、勝負の世界で生きてきた男たちの話は惹きつけられますね。これまでに大魔神・佐々木主浩さんやハマの番長・三浦大輔さん、ミスターパーフェクト・槙原寛己さん、メジャーリーガーだった吉井理人さん、50歳まで現役を続けた山本昌さんなど、ことにプロ野球出身者が番組ゲストに占めるパーセンテージが高いですね。つい先月も元阪神で活躍されていた桧山進次郎さんにご出演いただきました。現役を退かれてから(仕事などを通じて)競馬の世界に交わっていく方も多いようですが、もしかすると野球より厳しい勝負の世界である競馬界で生きる人と出会い、そこに惹かれていくのでしょう。自らも勝負師だったからこそ敬意を持って接し、競馬に対しても真剣に向き合っていることがお話から伝わってきます。闘いの世界で真剣に生きてきたからこその特別な共感や尊敬があるのでしょうね」

百戦錬磨の勝負師たちが語る熱のこもった競馬トークに夢中!

ご存知の方も多いだろうが、元プロ野球選手が馬主になるケースもある。ヴィクトリアマイルなどを制覇したヴィルシーナなどを所有する佐々木主浩氏は有名だが、他にも、元プロ野球選手だからこその観点や感性で馬主になっている方たちの逸話は、とてもユニークだ。

「佐々木さん以外では、ハマの番長・三浦さんも馬主として競馬ライフを楽しんでいらっしゃるお一人です。お二人に共通していると感じるのは、お付き合いされている調教師の先生......佐々木さんは友道康夫調教師、三浦さんは矢作芳人調教師へ絶大な信頼を寄せていることです。互いに話し合う中でこの方は信頼できると感じ、そう思ったならば馬を選ぶところからローテーションを決めるまで調教師にお任せをしているそうです。普通であれば、自分が馬主になるとローテーションなどについ口を挟みたくなるものですが、そこは野球で培った監督と選手の関係性にならい、忠実に従っていらっしゃるのだなと感じます。そのような強い信頼関係が築けているからこそ、佐々木さんはご存知の通り素晴らしい成果をあげていらっしゃいますし、三浦さんも決して高額ではない馬をしっかりと育ててもらって結果を残しています。素晴らしいことだなと感じました」

元プロ野球選手・山本昌氏は一口馬主の帝王!?

撮影:石井小太郎

仕事などを通じて競馬の魅力に開眼した著名人にとって、馬主になることは夢。だが厳しい規定や審査をクリアし、競走馬に関するすべての責任を負うとなるとかなりハードルが高い。それに代わって気軽さや手軽だなどで人気を集めているのが競走用馬ファンド、俗にいう"一口馬主"だ。

草野氏自身も「ダンスインザダークやブエナビスタなどの数々の名馬に出資した一口馬主として知られている。今年の日本ダービーを制したレイデオロにも出資しており、「通算ではGⅠを10タイトル獲得しています」というから驚かされる。そんな相馬眼を持つ草野氏をして「一口馬主の帝王」と言わしめるのは、現役時代に様々な最年長記録を打ち立てた山本昌氏だ。

「馬主として全て責任を負うのはとても覚悟のいることです。それに対して、1頭の馬を40口以上に分割して出資を募る『一口馬主』は魅力的な制度です。昌さんは、独特の勝負勘のようなものをお持ちのようですね。少し前に、『一口馬主』として30頭以上に出資されていると伺いました。数にも驚かされましたが(笑)、その中に今年の皐月賞を獲ったアルアインのような強い馬もいました。出資する前には送られてきたカタログやDVDとにらめっこして、自ら血統なども調べて申し込みます。ブエナビスタはG1を6つ獲得しましたが1口の値段は120〜130万円ほど。その手の馬としては決して高額ではありません。そこが勝負の世界の難しいところで、勝てる馬に出資できるかどうかはツキとしか言いようがない部分もあるのです。ですから、(2015年いっぱいで選手を引退。その後に馬主デビューしたばかりの)山本昌さんが、強い馬を引き当てられるのは独特の勝負勘によるところもあるのかなと。現役時代は競馬場で馬券を買い、かなり勝ったこともあるそうですからその勘は確かなはず。『一口馬主の帝王』は昌さんだなと思いますよ(笑)」

ゲストとのトークを振り返りながらにこやかに目を細める草野氏からは、大きな競馬愛がひしひしと伝わって来る。聞けば、東京大学在学中に社会学的観点から競馬に興味を持ち、以来50年以上も競馬とともに歩んできたという。

もともと博識で知られる草野氏だが、そこに長年の知識と経験、さらに情熱が重なることで、どんなゲストも信頼して心を開いて話せるのだろう。

9月のゲストは俳優の宮川一朗太氏。ドラマや映画で幅広い役を演じ分ける名バイプレイヤーである一方、競馬中継番組の司会をこなすほどの競馬好きとしても有名だ。互いの競馬論や競馬愛を論じ合うだけでも相当盛り上がるだろうし、草野氏だからこそ引き出せるエピドードも飛び出しそうな予感。ますます多彩で深く、面白くなる『草野仁のGate J.プラス』から目が離せそうにない。

Writer:橘川有子

※この記事はヨムミル!ONLINEの転載になります。

この記事の全ての画像を見る

放送情報

草野仁のGate J.プラス #87 (宮川一朗太 前編)

放送日時:2017年9月7日(木)21:30~

チャンネル:グリーンチャンネル

※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

詳しくはこちら

キャンペーンバナー

関連記事

記事の画像

記事に関するワード

関連人物