アイドル界の中で独自の存在感を発揮し続ける欅坂46(通称:漢字欅)の後発グループ・けやき坂46(通称:ひらがなけやき)が、2018年4月から5月にかけて上演された舞台「あゆみ」で初めて演劇のステージを踏んだ。この作品が7月28日(土)、29日(日)にTBSチャンネル1で放送される。
ひとりの女性が多くの人々との出会いを通して成長し、人生を歩み続ける姿を描いた本作。2010年に「わが星」で「第54回岸田國士戯曲賞」を受賞した柴幸男が脚本、黒色綺譚カナリア派主催の赤澤ムックが潤色と演出を担当するなど、アイドルグループの初舞台としてはかなり本格的な作品だ。合計20人のけやき坂46のメンバーがチームハーモニカ、チームカスタネットの2チームに分かれ、Wキャストとして"10人1役"を演じるなど挑戦的な作品にもなった。
成長していく主人公を10人それぞれが、さまざまなタイミングで演じるということは、他の役を演じるメンバーも入れ替わるということになる。例えば、主人公の母親を演じていたメンバーが次に主人公を演じる間は、その母親役を別のメンバーが代わりに演じるという形だ。主人公の友人や恋人、ペットの犬などを10人が代わる代わる演じることで、登場人物、キャスト双方の魅力が多面的に見えてくるという仕掛けが面白い。
チームハーモニカの中心となったのは渡邉美穂。2017年にはけやき坂46の初主演ドラマ「Re:Mind」が放送されたが、1期生主演のドラマの中で唯一、2期生として役を獲得したのがこの渡邉だった。18歳ながら堂々とした存在感を放ち、年上や先輩メンバーが多いチームを見事にけん引した。
一方、チームカスタネットの中心を務めたのは1期生の佐々木美玲。彼女は6月20日にリリースされたデビューアルバム『走り出す瞬間』のリード曲「期待していない自分」でもセンターのポジションに立つなど、けやき坂46を支える中心メンバーだ。前述のドラマでも主役級のポジションを務め、演技力の高さでも注目を集めている。
ほかにもさまざまな魅力を秘めたメンバーが多いけやき坂46だが、そもそも、欅坂46とは何が違うのか。先に誕生した欅坂46は2015年8月21日に結成。その最終オーディションを受けることができなかった長濱ねるというメンバーが、3カ月後に加入することに。わずかではあるが、1期生より遅れてスタートをきった長濱のために、"ひらがなけやき"という枠が誕生した。「そして長濱のために新しく仲間を集めよう」と募集されたのが、けやき坂46だ(※現在、長濱は漢字欅の専任)。ひらがなけやきの1期生は2016年5月に、2期生は2017年8月に加入、活動を始めている。
このようにやや複雑なグループ結成の経緯を持つため、けやき坂46は欅坂46の"2期生"という扱いではなかった。研究生と呼ばれることもない上に、完全に独立したグループと見ることも難しく、メンバー自身が自分たちのアイデンティティについて葛藤を続けてきたという一面がある。そんな境遇を抱えた彼女たちだが、2018年1月末から2月にかけて、けやき坂46のみで日本武道館での3デイズ公演を成功させ、この4月からは冠番組もスタート。さらに、これまでは欅坂46のシングルに"カップリング"という形だけで参加していたCDについても、アルバムを単独名義でリリースし、デビューを飾ったことで一躍アイドルシーンに躍り出る形となった。
アイドルとして明るい未来が見え始めた中で上演された舞台「あゆみ」は、そんな彼女たちがひとつのグループとして大きく成長していくうえでの大きな"一歩"になったことは間違いない。
文=大小田真
放送情報
けやき坂46公演「あゆみ」[チームハーモニカ]
放送日時:2018年7月28日(土)21:00~
チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画
けやき坂46公演「あゆみ」[チームカスタネット]
放送日時:2018年7月29日(日)21:30~
チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画
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